暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
81話:恋愛模様
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宇宙歴791年 帝国歴482年 8月上旬
首都星オーディン コンサートホール控室
フレデリック・フォン・リューデリッツ

「フレデリック、芸大の音楽学部でも評判になっていると聞き及んでいますが、あなたの流れるようなピアノの旋律は何度聞いても素晴らしいわね。この場に立ち会えた方々は感謝することでしょう。我儘を聞いてくれた事、感謝します」

「私の旋律は、マグダレーナ嬢に鍛えて頂いたような物ですから、こういう形でお役に立てるならむしろ光栄な話です。ピアノに出会えたのも、貴方がきっかけのような物ですし」

「まあ、フレデリック、二人きりの時は呼び捨てにする約束でしたのに。芸大で他に良い方でもできたのかしら?」

からかう様子で、美しい黒い瞳で見つめられると、未だにドキドキしてしまう。芸大は様々な分野の才能の塊が集う場だ。当然、お互いの才能を認め合って恋愛染みた事をする事も多いが、実家が余程の資産家でなければパトロンが必要になる。そう言う意味ではお互い遊びの関係で終わる事が多いが、私の実家は帝国屈指の資産を持つリューデリッツ伯爵家だ。無尽蔵に浪費できる訳ではないが、父からも自分の感性に響くものがあるなら、それなりに支援する許可を頂いている。
結果、若い才能あふれる女性たちと、恋人半分、パトロン半分のような関係になっている。幼いころからお世話になっているオーベルシュタイン卿に露見したらため息をつかれそうだ。ただ、同じく兄のような存在のシェーンコップ卿とロイエンタール卿からは、『良くやった』と言われそうだが......。

「マグダレーナに隠し事は出来ませんね。ただ、皆、自分の才能を磨くのに必死なのです。少しでも刺激になりそうなことなら麻薬以外は進んで試すでしょうし、ベッドを共にする喜びも、心地よい温もりも、自分の才能と向き合う活力にはなりますからね」

「まあ、フレデリックも言うようになりましたわ。でも本気になってはダメよ。貴方の才能を最初に見つけて、磨き上げたのは私なのですから」

うっとりした表情をしながら、指先で頬を触れられる。16歳で初めてコンクールで大賞を受賞した晩、『ご褒美をあげるわ』と告げられマグダレーナ嬢とベットを共にした。お互い初めてだったが、あの夜は彼女がリードしてくれた。後で気づいたが、女性の初体験はかなり痛みを伴うものだ。まして初体験の私では、至らぬことも多かっただろうに、素敵な思い出にしてくれた。それ以来、母と姉に続いて、私にとって特別な女性になっている。だが、彼女は男爵家の一人っ子だし、私はまだ学生の身だ。結婚の事は考えなくて良いと言われているが、本当に良いのだろうか?

「承知しています。今は自分の才能を磨くことが第一ですから。それに経営者として歩み始めて、既に結果を出しつつある兄上にも、面目が立つよ
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