二十九匹目
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
「ぅきゅ…」
「ずいぶんとお寝坊ですねシラヌイ」
「きゅ?」
メリーの腕の中から、シラヌイがシェルムを見た。
「きゅぁ」
「もうお昼過ぎですよ?」
「きゅゃぁぁん……」
「いえ、特に怒ってはいませんが、夜眠れなくなりますよ?」
「ぅきゅぅ」
「うーん…それは睡眠ではなく昏睡なのでは…?」
「きゅー、きゅー」
「ああ…あのときのディアマント製ナイフがそうなんですね…」
「きゅ!」
「だめですよ。健康にわるいですから」
「うきゅぅ……」
シラヌイが僅かに首をすくめる。
「とりあえず、ご飯にしましょう?」
「きゅー!」
客室から出たシラヌイが、四つ足で自室へ向かう。
「おお、ようやっと起きおったかこの寝坊助め」
「きゅぁ〜ん」
その途中、タマモと会った。
タマモはシラヌイを抱き抱えると、胸元にスポッとシラヌイをつっこんだ。
「うきゅ?」
「ボーデンがやっておるのを見てやりたくなったのじゃ。うむ…温くていいのぅ」
「うきゅ」
「なんじゃ着替えたいのか? なら儂が用意してやろう」
タマモがシラヌイの頭に触れる。
「クロスチェンジ」
シラヌイの体をゾワゾワとした感触が駆け抜ける。
「これでよいかの。さ、ゆくぞ」
タマモはシラヌイの部屋とは真反対へ、食堂へ向かった。
食堂へ入ると、メリーとシャクティが既に席についていた。
親達はおらず、二人と給仕のメイドだけだ。
「ぬいちゃんぱふぱふ?」
「でかいな…」
タマモは胸元からシラヌイを引き抜き、椅子に置いた。
「うきゅぁー」
シラヌイの手足が伸び、鼻が低くなる。
「ってなにこれぇ!?」
シラヌイが来ていたのはレースがふんだんにあしらわれた白いふりふりのドレスだ。
「今朝センマリカが持ってきた物じゃ」
「僕の礼服は!?」
「儂の魔法袋の中じゃが?」
「あっそ……」
シラヌイは諦めたような顔をした。
「ぬいちゃん。かわいいから元気だして?」
「そうだぞシラヌイ」
「カカカカ! モテるのぅ! 我が孫は結婚相手に困らずとも良さそうじゃのぅ!」
ニヤニヤとしたままタマモがパン!と手を叩く。
「では儂は出ておるよ」
タマモと入れ違いにメイド達が食事を持って現れた。
「お、カツサンド」
「「?」」
三人の前にカツサンドの盛られた皿が置かれる。
「シラヌイお坊っちゃまが考案された物です」
「いや、僕が考えた訳じゃないけどね?」
取り敢えず、と三人が手を合わせる。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ