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人徳?いいえモフ徳です。
二十九匹目
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「ぅきゅ…」

「ずいぶんとお寝坊ですねシラヌイ」

「きゅ?」

メリーの腕の中から、シラヌイがシェルムを見た。

「きゅぁ」

「もうお昼過ぎですよ?」

「きゅゃぁぁん……」

「いえ、特に怒ってはいませんが、夜眠れなくなりますよ?」

「ぅきゅぅ」

「うーん…それは睡眠ではなく昏睡なのでは…?」

「きゅー、きゅー」

「ああ…あのときのディアマント製ナイフがそうなんですね…」

「きゅ!」

「だめですよ。健康にわるいですから」

「うきゅぅ……」

シラヌイが僅かに首をすくめる。

「とりあえず、ご飯にしましょう?」

「きゅー!」








客室から出たシラヌイが、四つ足で自室へ向かう。

「おお、ようやっと起きおったかこの寝坊助め」

「きゅぁ〜ん」

その途中、タマモと会った。

タマモはシラヌイを抱き抱えると、胸元にスポッとシラヌイをつっこんだ。

「うきゅ?」

「ボーデンがやっておるのを見てやりたくなったのじゃ。うむ…温くていいのぅ」

「うきゅ」

「なんじゃ着替えたいのか? なら儂が用意してやろう」

タマモがシラヌイの頭に触れる。

「クロスチェンジ」

シラヌイの体をゾワゾワとした感触が駆け抜ける。

「これでよいかの。さ、ゆくぞ」

タマモはシラヌイの部屋とは真反対へ、食堂へ向かった。

食堂へ入ると、メリーとシャクティが既に席についていた。

親達はおらず、二人と給仕のメイドだけだ。

「ぬいちゃんぱふぱふ?」

「でかいな…」

タマモは胸元からシラヌイを引き抜き、椅子に置いた。

「うきゅぁー」

シラヌイの手足が伸び、鼻が低くなる。

「ってなにこれぇ!?」

シラヌイが来ていたのはレースがふんだんにあしらわれた白いふりふりのドレスだ。

「今朝センマリカが持ってきた物じゃ」

「僕の礼服は!?」

「儂の魔法袋の中じゃが?」

「あっそ……」

シラヌイは諦めたような顔をした。

「ぬいちゃん。かわいいから元気だして?」

「そうだぞシラヌイ」

「カカカカ! モテるのぅ! 我が孫は結婚相手に困らずとも良さそうじゃのぅ!」

ニヤニヤとしたままタマモがパン!と手を叩く。

「では儂は出ておるよ」

タマモと入れ違いにメイド達が食事を持って現れた。

「お、カツサンド」

「「?」」

三人の前にカツサンドの盛られた皿が置かれる。

「シラヌイお坊っちゃまが考案された物です」

「いや、僕が考えた訳じゃないけどね?」

取り敢えず、と三人が手を合わせる。


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