猫娘と強化合宿編
NO.079 回想と反転
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出久が今もなお爆豪の治療を続けている隣で無言で立っていた洸汰は先ほどの『自分だけが』知っている出来事について少なからず恐怖を感じていた。
それは、出久が問答無用でマスキュラーを倒したことか?
いや、今の洸汰の出久に対しての好感度はその程度では揺らがないから今更出久に恐怖を感じることはない。
では? 爆豪が瀕死の重傷でかつての親の死を重ねた事か?
それは否。
確かに不安いっぱいだったが、それでも洸汰と爆豪の接点はこの合宿のみで、そこまで関係も深くはない。
では洸汰は一体“なに”に対して恐怖を抱いたのか……。
それは先ほどの腕が飛ばされて爆豪が気絶した後の事だった……。
マスキュラーに右腕を切断されてそのまま地面に落ちて気絶する爆豪。
腕からは大量に血が出ているためにすぐにでも治療をしなければ出血死してしまう。
だが、
「はっはぁー! 血だ! 俺はこれを見たかったんだよ!」
快感を味わっているマスキュラー。
そんなマスキュラーに対して洸汰はそれはもう震えあがっていた。
出久に関してはかなり重症で呆然自失になっていた。
「さぁて……こいつは時期に死ぬさ……でも寂しくなんねぇよーにてめぇらもまとめてあの世に……いや、命令があったか。チッ……消化不足だぜ」
そんな事を独り言のように呟きながらもマスキュラーは出久達に近づいてくる。
「呆然自失状態か……なおさらちょうどいいな」
「ち、近寄るな!!」
洸汰が出久の前に立ち必死に両手を広げて通せんぼをする。
だがすぐさまマスキュラーは軽く撫でるように洸汰の頬を引っ叩き横に吹っ飛ばす。
「あぐっ!」
「ガキ……邪魔だ、大人しくしていろ」
そしてマスキュラーは出久の前に立ち、
「そんじゃつまんねぇ幕切れだが連れ去るぜ?」
「―――……くも……」
「ん……? なんか言ったか?」
「よくも……かっちゃんを……よくも!!」
伏せていた顔が上がるとそこには憎しみが籠もっている表情をする出久がいた。
それにマスキュラーは「ほう……」と感心する。
人畜無害そうな出久が今回初めて表に出した感情だ。
「そうだよなぁ……ヒーロー気取りでも所詮は人間なんだから憎しみも感じるもんだ。今まで何度も見てきた顔だ。だが、てめぇじゃ俺には敵わねぇ。諦めろ……な?」
そう諭すマスキュラー。
だがなお出久のその眼光は衰えない。
それでやれやれとかぶりを振るマスキュラー。
「そんじゃ、少し手荒だが生きてりゃ別に構わねぇんだよな? 手足でももいどけば時間稼ぎはできるか?」
誰に問うわけでもなく恐ろしい事を宣うマスキュラー。
だが、その時……出久の脳内ではある変化があった。
『イズクがそんな暗い感情
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