第二十八話:報復2
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が好意的に遇してくれるかを見極める必要があったのだ。
「すっごい無愛想……」
眼前の工作員は何度見ても無骨なガスマスクで顔の下半分を覆い隠し、ダース・モールを想像させる禍々しいフェイスペイントで彩られており、所属どころか人種でさえ想像できない状態であった。
「今更白馬の王子に憧れるトシでもないのは分かりきってるんだけどなあ……」
冷え切った雰囲気に何度目かわからないため息をつくナターシャ。最早目の醒める程の綺羅びやかな星空と、涼しげに響く波の音くらいしか彼女に構うものはなかった。
「銀の福音」
唐突に男が口を開く。
「え?」
「お前の機体だったと聞いている」
ナターシャの顔色が変わった。銀の福音は最重要機密事項であり、テストパイロットであったナターシャでさえ、関係者の前でさえ容易く口にして良い名前ではなかった。専らコードネームで呼ぶのが当たり前で、ナターシャ自身銀の福音自体の名前を声に出して呼んだのは数えるほどだ。
それを何の躊躇いもなく口に出すということは、機密事項を見慣れているほどの重要人物がバックに居り、尚且つアメリカと敵対している勢力の工作員であるという可能性がある。
「ええ、私の機体だったわ。もう降ろされたけど」
「凍結か?」
間髪入れずに男が質問を入れる。
「そうよ、あの暴走以降安全性を考慮して永久に凍結されることになったの……まだお礼も言えてないのに」
工作員の目が彼女の言葉を吟味するように細められる。嘘は許さんと言わんばかりの威圧感がナターシャを取り囲む。
「……お礼?」
「コアの……人格って言えば良いのかしら?飛んでたら手足が動かなくなって、視界が真っ暗になったの。そして機体が耐用基準を大幅に超えた機動で暴走し始めたの。正直、もう駄目かと思ったわ」
──愚かな。とラシャは心中で舌打ちをした。何故IS乗りというものはここまでブラックボックスだらけのマシンをありがたがって乗り回せるのだろうか。
ISには絶対防御という生命維持機能が付いているが決して万能ではない。第一、生命に異常がない程度の苦痛など幾らでもある。それによって『死んでないだけの無意味な生』を送らされている人間をラシャは何人も見てきたし、何人も生み出してきた。
「だけど、コアが……あの子が、銀の福音を銀の福音足らしめている存在が、私を護ってくれたの。何とか駆動系にセイフティを掛けて、生命活動に支障がないように工夫をしてくれたの。あの暗闇の中で、たった……一人で……っ」
最後には嗚咽混じりに話すナターシャ。しかし、ラシャは彼女の処遇に関して色々と考えを巡らせていた。
実のところ、彼女を生かしておく理由は無く「アメリカの鼻
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