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殺人鬼inIS学園
第二十八話:報復2
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ているのか解っていないようだな」

 泥人形の体表が沸騰するかのごとく泡立っていく。同時にスマートな体型は無残に崩れ、スモウレスラーもかくやといった体型にまで、急激に膨張を始めた。明らかに何かが起きようとしている。

「さて、みんな返すよ」

 その言葉とともに、膨張したそれは破裂した。今まで浴びた銃弾の雨だけでなく、道中取り込んだと思わしき空母の部品と思わしき鉄屑や、戦死した隊員の肉片や骨片。撃破したISパーツの破片などをコレでもかとばかりに撒き散らして。

「があっ!?」

 泥人形が放った死の暴風をモロに浴びたファング・クェイクは、咄嗟に防御の為に両腕を盾にした。結果的にその判断は正しく、絶対防御が発動するもすぐにエネルギー切れを起こしてしまい、装甲が鉄屑と熱風でガリガリと削れていった。
 何とか死の暴風を凌ぎ切ったイーリスは、パワーアシストが切れて鉄塊と化したファング・クェイクの両腕を何とか動かし、防御の構えを解いた。
 凄惨な光景であった。動いているものは最早イーリス一人だけ。さっきまで訓練に汗を流していた不出来ながらも将来が楽しみであった部下たちは軒並み息絶えている。彼女たちが等しく身に着けていたISもエネルギーを失い、それぞれの棺桶となって無常に佇んでいた。

「だ、誰か!!生きてるやつは居ないのか!?」

 なんとか声を張り上げるが、虚しく歪んだ木霊が返ってくるばかりだった。それでもなんとか生き残りを探すイーリス。しかし、探せども見つかるのは肉片ばかり。生きている人間どころか五体満足な死体を探す事さえ難しい有様であった。
 この事件によりアメリカの懐事情に決して無視できない打撃が与えられた。非公式部隊の壊滅によりアメリカのIS産業の飛躍的な発展は陰りを見せ、ヨーロッパ圏内ではスキャンダルに揺れるフランスとドイツを率いる形となった、イギリス主導によるイグニッション・プランの勢力が台頭していくことになる。


 忘年某月某日、地図から消された島沿岸にて。

「さて、これで君はアメリカからはお尋ね者になる。星条旗にお別れはするかい?」

「いいえ、要らないわ」

空母からナターシャを連れ出したラシャは、上陸地点の海岸に戻ってきていた。上陸の際に隠しておいたプロペラントタンクの点検をしているラシャの背中に、ナターシャは疑問を投げかけた。

「何で私を助けるの?」

「答える必要はない」

 即答且つ会話の流れをぶった切られたナターシャは、ため息を吐いた。どの道死刑を待つ身分であったが、連れ出されたからと言って安全が保証されたわけではない。場合によっては、死刑に処された方がはるかに恵まれている運命をたどることも考えられた。
 とにかく情報が必要だった。少なくとも自分を受け入れてくれる組織
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