第二十八話:報復2
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戦データをかき集め、各国に散らせた間諜から得た情報と照らし合わせる。表に出来ない外道の所業だって腐るほどしてきた。
それらの積み重ねが今、水泡に帰そうとしている。彼ら、彼女らは決して悪人ではないが、聖人のような善人でもない。ただ、外国の無辜の民を犠牲にしてまで、自らの挟持をすり減らしてまで得た結果が危機的状況にあるのを指を咥えて見ていたくないだけなのだ。
「大尉を助けろ!!」
「映画じゃないんだ、無事で済むと思うなよ!!」
怒涛の制圧射撃を受けて、汚泥の拘束が僅かに緩む。その隙をイーリスは見逃さなかった。直ぐ様両腕の爆裂装甲を腕部パーツごとパージすると、補助ブースターが焼け付くのを承知で全力で機体を後退させた。
「ぅうううああああああぁぁぁ!!」
そして彼女の目論見はうまく行った。泥沼から車両が這いずり出る要領でファング・クエイクは汚泥の拘束から脱出したのだ。
「予備パーツ!!」
イーリスの怒鳴り声と同時に、ハンガーの扉が開く。イーリスは開放途中の扉を乱暴に蹴り破ると、予備の腕部パーツを装着した。ソレを見計らって部下の一人がIS用バトルライフルを投げて渡す。
「よし、仕切り直しだコラァ!!」
バトルライフルを構えたイーリスに対し、汚泥は意外な反応を返した。
「ソレは無理だナ。ワタシの役目は終わっタ」
イーリスの眼前の泥が形を変えていく。無秩序さを押し固めたような外見は鳴りを潜め、贅肉の無いスポーツマンの様なスマートな人間になった。
「今更逃げるのかよオイ!!」
「煽っているのならば無意味だ。何故なら君達はさらなる屈辱でそれどころではなくなる」
流暢にしゃべるようになったかつて汚泥だったものは、右腕を掲げると、レールガンに変形させた。
「そうそう、この弾は焼夷弾だ」
「何?」
唐突な告白にイーリスは一瞬意識を取られる。しかし直ぐに意味を察して瞬間加速で踊りかかった。ISのハンガー内には、推進剤やエネルギーバッテリー。弾薬の類が山程ある。曳光弾一発でこの船に致命的なダメージを与えることは十分に可能だった。
「よせええぇぇぇ!!」
ファング・クェイクが唸りを上げ、近接攻撃用のマチェーテ型武装を展開して泥人形が構えたレールガンの銃口に深々と突き刺した。
少なくともこれで最悪の事態は回避された。と、イーリスはひとりほくそ笑んだ。
「馬鹿だな、そんなのだから手玉に取られるんだ」
泥人形の空いた左手には、イーリスが持っていたバトルライフルの銃口が握られていた。
「!!」
反射的に引き金を引くと同時に、吐き出された弾薬は、全て泥人形の中に吸い込まれるようにして埋没していく。
「まだ自分が何をし
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