第二十八話:報復2
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」は、ゆるりと間を詰める。
「何処かへ行きたいと言ったな。叶えてやろう」
意外な一言が飛び出した。明らかにボイスチェンジャーで歪められたおどろおどろしい声と共に手が差し伸べられる。不当な扱いに衰弱していたナターシャは迷わなかった。
秘匿空母エルボーの内部では、ISを部分展開した兵士達が乗組員の避難誘導を行いつつ、虐殺を続行しているVTシステムを捜索していた。本来ならば陣頭指揮を執っているはずのイーリス・コーリングは、血と肉片に彩られた濁流に蹂躙されたせいでISのエネルギーの大半を消耗してしまい、羞恥と悔しさに耐えながら愛機のエネルギー補充を待っていた。
現行兵器を遥かに凌ぐとされているISだが、エネルギーが尽きてしまえばただの鉄の塊であるということは変わりなく、等しく無様を晒す点に於いては残酷なまでに平等であった。
「リチャージは終わらねえのか!?」
苛立ちを隠そうともせずに、イーリスは整備主任に怒鳴り散らした。
「あと5分は掛かります!!」
負けじと整備主任も怒鳴り返す。
「3分でやれ!」
「無茶言わんでください!!唯でさえ整備シークエンスを4つほどすっ飛ばしてるんですよ!?恩給暮らしが惜しかったらちょっとは落ち着いてください!!」
イーリスと整備主任の罵り合いは長くは続かなかった。格納庫の壁をぶち破って、部下の一人が血みどろで現れたからだ。
「何!?」
彼女には配線だらけの鉄屑がカサブタのように張り付いていた。一瞬の困惑の後、整備主任はそれがISのパーツであることに気付いた。IS乗りが打倒されたのであれば考えられることは一つだけ。
「気を付けろ!VTシステムだぁ!!」
整備主任の他にも、理論・本能問わずに全てを察した兵士達が居たのだろうか。咄嗟に伏せたり身を隠そうとする連中が視界の隅に見えた。しかし、それらは無残に引き裂かれた。壁の穴から飛び出してきた巨大な砲弾が一切合財を掻っ攫っていったのだ。
「俺の機体を出せ!!」
イーリスが叫ぶ前に整備主任は彼女の愛機に火を入れていた。ハンガーに傅いていたファング・クェイクが粒子化し、彼女の?に纏わりつく。瞬時に戦闘態勢を整えたイーリスは格納庫の大穴へ飛び込んだ。
そこには、汚泥に手足が生えていると見紛うほど醜悪なモノがそこにあった。手当たり次第にそのへんの物質を無節操に取り込んだ結果、無様に肥大化した人間の我欲を抽象的に表した様なソレからは辛うじてレールガンの様な武装が見えていた。
「何だ……ありゃあ!?」
突如として現れた非常識で凝り固められた怪物を前にして、イーリスの初動が僅かに遅れる。不幸なことに、汚泥にはその動揺を見逃さない知性が備わっていた。瞬時にレールガンが新た
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