80話:任地
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うだ。もっとも護衛の手配やテロ対策の為に気楽に出歩くわけにもゆかなかったというのもあるがな」
シェーンコップ卿が思い出し笑いをしながら話に加わってくる。彼とは知らない仲ではないし、白兵戦技の分野では帝国屈指の人物だ。教師役に付いて頂くのは有り難いが、彼からは『子守り』と思われていないだろうか?伯がおっしゃられた様にいつか実力で協力を求められたい人物ではあるが......。
「シェーンコップ卿、こちらに赴任する際はリューデリッツ伯爵家の御用船で参りました。着陸までの一時間ほど、艦長の好意でメインモニターに着陸用のカメラ映像を流してくれたのです。近づくにつれて巨大さが実感出来て、何やらワクワクしました。それにしても視察だけで3か月とはすごい話ですね」
「この基地に赴任する者は、まずその巨大さに目を奪われるが、しばらくすると生活水準の良さに驚き、昇進するにつれて異常な効率の良さに驚愕する。時間があるうちに、他の基地の平均的な数字を見ておくと、その辺りが実感できるかもしれんな」
中核設備と駐留施設を円形に配置した事で、従来以上の効率は実現できるのだろうが、他にも様々な工夫がされているのだろう。あのリューデリッツ伯が建設を担当した基地だし、新世代艦の運用が本格化してから初めて新設された基地でもある。構想自体から違うのだろうが、確かに見て回るのが楽しみでもある。
「まあ、当分は二人で出歩くのは無しにしてほしい所だな。この基地は規模だけなら帝都に匹敵する。案内役がいなければ迷うのが関の山だからな。偉そうに言っている俺も、迷った経験がある。経験者の言う事は聞いておくことだ」
「シェーンコップ卿がそこまでおっしゃるのだ。キルヒアイス、荷解きが終わったら出歩いてみるのも良いかと思ったが、まずは基地施設の予備知識を確認する所から始めよう」
「はい。ラインハルト様」
キルヒアイスも同様に、初めての任地に気持ちが高ぶっている様だ。何かと気苦労も多そうだが、始まったばかりの軍人としての生活に俺は楽しさを感じていた。
宇宙歴791年 帝国歴482年 4月上旬
惑星エルファシル 駐屯部隊仮設基地
ヤン・ウェンリー
「やはり少佐には貧乏くじを引かせてしまったな。一番大変な時期に損な役回りをさせてしまった。広報課の道化役よりはやりがいは感じられたじゃろうが、一番大変な時期が過ぎたとたんに転任とはな」
「ビュコック司令、司令にそれを言われてしまうと、私からは何も言えなくなってしまいます。一番困難な時期に責任者を果たされたのは司令なのですから」
「まあ、実際動き出してしまえば、儂のようなたたき上げよりも、次期後方勤務本部長の呼び声高いセレブレッセ少将に任せた方が得策じゃろうからな。老人相手では、何かと追及も緩くなる。厄
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