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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第21話 止まらない奔流
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じ、双子だったんだ」
「それは僕もプラントリナさんから聞いたよ。そこに関してはだいたい分かってる」
ミストがセレシアからそのことを聞いた時、ミストはやはりか、という気持ちになった。薄々感づいていたものが、現実になっただけで、特に何かが変わるわけではないのだから、驚くこともない。
「で、それを知った後に……スプリンコートさんから、想いを伝えられた。告白されたんだ」
「そっか」
平常時にミストが驚きを覚えるとするならば、むしろそっちの方だった。
いつも見ているわけではないのだが、フローラが自分の想いを伝えるのが下手なことと、非常に純粋なのはミストも知っている。今日に至ってはエースと自分が『大事な人をこれ以上作れない』とまで言った。障害を多く積み立てた。
それなのにも関わらず、今日フローラがエースに告白したのは、驚き以外の何物でもないだろう。エースの言葉に返した短いその一言は、色々と思いがこもり過ぎ、綺麗にまとまる言葉がなかったが故のセレクトであった。
「でも俺、答え、言えなかったんだ。全然言葉を飲み込めなくて、ちょっと迷っただけなんだ。想いを向けられてるって分かって、その事実がそこにあるって分かって、戸惑った自分がいた」
必死に言葉を紡ぐエースから声の震えが時々感じられるのは、悔いのためだろうか。何となくだが、ミストはそう思った。
だがその悔いの理由に関しては、少し戸惑っただけで思わぬ方向へと物事を向けてしまった責任とは思えなかった。もっと別の、個人的なものに思えた。
「だから反応が遅れた。ここぞで、全然役に立てなかった。想いにも、期待にも、全然答えられなかった……」
自分を責めるセリフが、エースの口から溢れ出る。それはきっと抱えていた想いの奔流が、黒く形を変えて現界した姿。見たくなくともこの目に焼き付けなくてはならないと、ミストはそう感じた。
「それが、死ぬほど悔しいんだ……」
いつもならば、死に掛けの奴が言うセリフにはピッタリだ、などという少し過激なからかいの文言が浮かぶかもしれない。しかし、その言葉は浮かんですぐに霧散し、最初にエースに向けたのはただの視線。何を言ってもきっと慰めにもならないだろうという、ミストの直感による行動だった。
「エースの答えは聞かないでおこう。僕に言ってしまえば、エースのためにならない」
少しだけ会話に空白が出来た後、ミストはそう言った。その答えを最初に言うべき人が誰なのか、伝えたい文言が何なのか、これまでの中でミストは十分に理解している。
「行ってくる」
エースの姿を見て、すぐに治る見込みのないエースをあえて見放す、という選択肢をとったミスト。
「ああ、不甲斐ない兄貴の代わりに……頼む」
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