第6章:束の間の期間
第180話「魅了の封印」
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「こちらとしては都合がいいんだけどね」
しばらく考える時間があった分、神夜はこれまでの事を振り返っていた。
突き付けられた真実を事実として受け入れるとまでは行かないものの、それがまるっきり嘘ではない事は理解したため、こうして意気消沈していた。
「……さて、いつもみたいにこいつを敵視する程気力がない所悪いが……」
「確認したい事、答えてもらうよ」
そんな様子の神夜を少し気の毒そうにする帝だが、すぐに用事を済ませる事にする。
「確認したい事……?そういや、言っていたな……」
「ああ。……お前は、転生する時、女神姉妹の前に誰かにあったか?もしくは、生前に奇妙な出会いや出来事はなかったか?」
「……どういうことだ……?」
「魅了の力を与えた存在。……私達は、それを警戒しているわ」
とりあえず神夜は記憶を探る。
……しかし、思い当たる節はないようで……。
「……ない、はずだ」
「……収穫なしか。……確認するが、生前から他の人より女性に親しまれていた事はないよな?それなら生まれつきの異能の可能性が……」
「……それもない。女友達なんて数える程しかいなかった」
“魅了”の力。
散々指摘されてきたソレを、さすがに神夜も自覚した。
そのため、前世と色々と違う事が浮き彫りになった。
前世では“魅了”の力はなかった事がわかるのも、それの一つだ。
「女友達はいたのか……じゃなくて、つまり“魅了”については心当たりがないんだな?まぁ、自覚してなかった事から大体予測済みだが」
「……ああ。そうだ……未だに、信じたくないけどな……!」
若干羨ましいと思った思考を振り払いつつ、念を入れて確認する。
神夜はまだ信じたくないようだが、それを肯定する。
「……となると、本当にいつの間にか押し付けられたって事だね……」
「っ……おい、しつこいようだけど、本当に何の心当たりもないよな?……些細な事でもいい、何かないのか?」
「ッ……ないって言ってるだろ!」
帝が詰め寄ってさらに問い質そうとする。
しかし、さすがにしつこいようで神夜は拒絶の意を示した。
「俺は知らない……!こんな力があった事も、誰かに与えられたかどうかも、俺は知らない……!知らないんだ……!」
「……嘘は言ってない。織崎は本当に何も知らないみたいだ」
〈これだけ精神を追い詰められていれば、嘘をつく余裕などありませんからね。私も優輝様と同意見です。視線、呼吸、表情。その他の要素を取っても嘘ではありません〉
「お前嘘も見破れるのかよ……まぁ今はいいや」
頭を抱えて喚く神夜。
その神夜の言葉は嘘ではないと、優輝とエアが断言する。
「チッ……ガ
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