第6章:束の間の期間
第180話「魅了の封印」
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リヒト曰く、それは導王時代から続いているとのことだった。
王としての才は大してないのにも関わらず、発展と維持を続ける事が困難だったのにも関わらず、優輝……ムートは王として在り続けていた。
そして、今も。どんな絶体絶命な状況でも諦めず、挽回した。
……それは、よく考えなくとも“異常”なのだ。
「……いつまでも、目を逸らしてばかりではいられないな」
溜息を吐いて、光輝はそう呟いた。
親として、優輝の特異性には何となく気づいていた。
それでも、気にするほどではないと、直面しないようにしていたのだ。
だが、それももう出来ないと、事情を聞いた光輝は思った。
「優輝。お前は何があろうと、俺たちの息子である事は変わらん。……だから、お前も自分の秘密と向き合った時、自分を見失わないでほしい」
それは、親としての願い。
子を心配する親の、至極当然の想いだった。
「……お?」
「あっ」
廊下を優輝が歩いていく途中、帝と出会う。
帝の方には、同じく手が空いたのか、司と奏もいた。
「優輝さん……!?」
「優輝君、もう出歩いて大丈夫なの!?」
すぐさま司と奏が心配して駆け寄ってくる。
「ああ。ゆっくり休んだからもう大丈夫だ。心配を掛けたみたいだな」
「そりゃあ、目の前で倒られたんだ。心配するだろうよ」
「それもそうだな」
帝の言葉に納得するように優輝は頷く。
「(……やっぱり……)」
その際、言葉に抑揚があるように聞こえたが、司達はそれが演技だとすぐに分かった。
「(まぁ、そんな簡単に戻る訳ないよね)」
心の中で、司は落胆した。
だが、それを優輝に見せる訳もなく、いつも通りを装う。
「三人はどこへ?」
「ちょっとあいつ……織崎の様子を見にな。って、お前は俺たちが何をやってたか知らなかったな。あー、司、奏、任せた」
「まぁ、言い出しっぺは私達だからね。えっと、実は優輝君が倒れた後―――」
一緒に歩きながら、司と奏で優輝が倒れた後の話を簡単に説明する。
そして、今は神夜の様子を見に行こうとしている事も伝える。
「……それなら、僕は行かない方がいいんじゃ?」
「そこは私達が何とかするよ」
自分がいたら神夜と会話もままならないだろうと優輝は考える。
神夜は優輝が元凶だと思い込んでいる事もあって、そう考えるのも無理はない。
「起きた所わりぃが、お前の意見も聞いておきたいんだ。そのためにも、あいつとの会話に参加してくれると助かる」
「情報の照らし合わせもやっておきたいからね」
「それなら……まぁ……」
帝、司がついてき
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