第6章:束の間の期間
第180話「魅了の封印」
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『いいから落ち着いて頭でも冷やしとけ。錯乱するのは分かるが、いつまでもそうしてられるとまともに会話もできねぇだろうが』
「『っ………』」
帝のその言葉に、神夜は言葉を詰まらせる。
わかっていた……と言うよりは、その言葉で自覚させられたからだ。
「俺……は……」
『……確かめたい事があるから、じっとしとけ。着いたら拘束を外してやるから、ちゃんと大人しくしろよ?』
帝はそう念を入れて、念話を切った。
残された神夜は、帝が来るまで信じたくなかった真実と向き合う事となった。
「………」
ふと、静かに優輝は目を覚ます。
起き上がり、辺りを見回す。
「お、起きたか」
「父さん。……母さんは……寝たんだ」
「まぁ、ずっと様子を見ていたからな」
ベッドの傍で優香が眠っており、光輝は椅子に座って本を読んでいた。
優輝が眠っている間、優香はずっと見守っていた事もあって、途中で眠っていた。
光輝はそんな優香を支えるように時折交代したり、食堂から食事を持ってきていた。
「食欲はあるか?」
「一応は。空腹にもなってる」
「そうか。それなら、そこにあるお粥でも食っておけ。魔法で保温状態にしておいたから、まだ暖かいはずだ」
「ありがとう、父さん」
ベッドのすぐ横の棚の上に、お粥が置かれていた。
優香が優輝のために作ったもので、まだ魔法の効果で暖かった。
「ご馳走様」
「……もう、大丈夫そうだな」
「うん。ありがとう。傍にいててくれて」
「気にすんな。お前に家の事とかずっと任せっきりだったからな」
お粥を食べ終わり、優輝は感謝の言葉を述べる。
光輝は照れ笑いをしながら、少々乱暴に優輝の頭を撫でた。
「……もう行くのか?」
「多分、司や奏に心配をかけたから。起きた事を伝えておかないとね」
「……まぁ、そうだな。母さんには俺から伝えておく」
「任せたよ父さん」
優輝はそのまま部屋を出ていく。
残された光輝は、本を机に置いて優輝が寝ている間の事を思い出す。
「転生……神……それに、感情を代償、か……確かに、そうだな……」
それは、優輝のデバイスであるリヒトから聞いた内容。
まだ光輝が知らない優輝の事情と、ある推察。
光輝は、それらを聞いて一考する必要があると思わざるを得なかった。
―――マスターは、私から見ても“異常”です。
―――人智を超えた“何か”があるかもしれません。
「……優輝には、何か秘密がある……」
異常な程に、無茶をしてもそこから回復をする。
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