第六章
第62話 突入(2)
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……というのは今考えても仕方がない。
どうするのか決めなければならない。
後ろの兵士たちも、決断を促すような顔でこちらを見ている。
「リクさん。ここさえ抜けることができれば、その先に封鎖できるポイントがあります」
タイミングよく、タケルが情報提供をしてきた。
「よし。ここは無理矢理駆け抜けよう」
神と後続の兵士にもその旨を伝える。
戦意がない住民は殺さないように、そして床に倒れた住民をできるだけ踏まないように。その二点、念を押した。
「では……行きますよ」
兵士の声、足音、鎧の音。
盾に突き飛ばされた人間が、壁のボードに当たる音。
地下都市住民の悲鳴。
そして、混乱した住民がまたボタンを押したのだろう。スピーカーから流れる非常音声。
通路は瞬く間に騒然となった。
俺も「ごめんなさい」と叫びながら、正面の人間を左右に飛ばしていく。
そんなことを叫んでも仕方ないことは知っていながら。
五百メートル以上は走ったと思う。
広い通路の終点には、大きな金属の扉があった。
鍵はかかっておらず、押し開けようとしたらすんなり動いた。
逃げ込むように入る。
すぐに前方を確認した。
高校にあった剣道場くらいの大きめのホールで、向かい側に見える出口とおぼしき扉は、閉まっている。
ホールの中央には何もない。
四隅に近いところに、それぞれ一本ずつ、円柱形の柱が見える。
銃を構えた人間はいな――
「うあっ?」
俺の体は、何かによって斜め横方向に突き飛ばされた。
そしてほぼ同時に大きな破裂音。
銃声だ。
「拳銃だ! みんな盾を!」
俺はバランスを立て直しつつ、反射的に叫んだ。
後から入ってきた兵士が言う通りに構えてくれたかを確認する余裕まではない。
――今のは発砲だ。間違いない。どこからだ?
「リク、右奥の柱の後ろだ!」
クロのその声だけで、どの柱のことを指しているのかわかった。
今入ってきた入り口から見て、ホール右前方の柱。あそこか。
この距離では撃たれ放題だ。詰めなければ。
盾をかかげたまま突進する。
過去に撃たれたときの記憶が勝手に蘇ろうとしたが、声をあげながら走ることで、それを無理矢理におさえつけた。
横や後ろから、他のメンバーが続いて突進する音。
相手が、柱から横っ飛びで姿を現した。
そして銃口を……誰に向ければよいのか迷ったのだろう。銃口がブレる。
いける。
その隙に剣で刺撃を。
剣先を相手の首に――。
あ。
まさに突き刺そうとするコンマ数秒前。計画変更は成功した。
剣ではなく左手の盾で、相手の視界を奪うように
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