猫娘と強化合宿編
NO.078 走馬燈
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う、と傍観している中でまだ無個性だと思い込んでいた出久が爆豪のもとへと無謀にも駆けてくるそんな姿。そして個性が発動して駆けてくる中で性転換していく出久。
客観的に見て分かる。
本当にあの時、体が勝手に動いていたんだ、と爆豪は感じた。
「(デク、お前は本当に……)」
そして流れていく雄英高校での生活。
個性把握テスト……。
戦闘訓練……。
放課後の宣言……。
USJでの自身の出久が脳無に傷つけられてトラウマを刺激されて暴走してしまった光景……。
雄英体育祭……。
職場体験でベストジーニストの手によってトラウマの原因を探ってもらった時……。
出久の口から教えてもらった真実……。
期末試験で協力してオールマイトに立ち向かった事……。
そして……、
最後の光景はヴィランによって腕を飛ばされてしまい、出久と洸汰がすごい泣きそうな顔になって叫んでいる光景……。
そして訪れる闇……。
「(これが走馬灯って奴だったのか……? 俺は、死ぬのか……?)」
そんな自分の事なのにどこか他人事のように感じている浮遊感。
走馬灯が終わったことでどんどんと眠気が酷くなってきて、とうとうヤバいと感じた時だった。
『かっちゃん!』
「(ッ!!)」
出久の自身を呼ぶ声とともに様々な表情が濁流のようになって爆豪の脳内に流れ込んできた。
それで薄くなってきていた意識が急激に再び覚醒した。
「(そうだ! こんなところでくたばってる場合じゃねぇ! 俺が死んじまったら絶対デクは泣く! 俺はデクが傷つく光景を見たくないからデクが無個性だったのをどこかで安心していた……、でももうデクは無個性ではなくその身にとてつもない運命を背負っちまった。誰かが支えてやんねーといけねぇ!!)」
その思いとともに爆豪は叫んだ。
「(こんなところで終われねぇよ!! 終わってたまるかーーーーー!!)」
―――……瞬間、爆豪の脳内でなにかが『カチリッ!』と音を立てた。
「――――――……ちゃん! ………ちゃん!」
「―――の、……ちゃん!」
どこかで誰かが何度も自身に向けて叫んでいる声を聞き、爆豪は重たい瞼をなんとか開けた。
そして映った光景は大量の大粒の涙を流しながらも自身の千切れた右腕と肘部分をなんとか個性で治そうと必死の表情になっている出久の姿だった。
洸汰も隣で必死に事態を見守っている。
「…………出久……」
爆豪の口から『デク』ではなく『出久』という言葉が漏れて、出久と洸汰はハッとした表情で爆豪の顔を見てくる。
「かっちゃん!」
「爆破の兄ちゃん!」
二人はとても嬉しそうな顔になっていたのは言うまでもない。
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