猫娘と強化合宿編
NO.078 走馬燈
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『出久! おめぇ本当になにもできねぇな!』
「(あ……?)」
爆豪の意識は突然の過去の光景を見せられて覚醒した。
しかし体どころか手足すら動かせない、視界も暗い中で脳内に過去の光景だけがぼんやりと連想されていく。
『出久ってデクって読めるんだぜ?』
『かっちゃんすげー! 字読めるの?』
『読めねーの……?』
「(おい……やめろ……)」
爆豪は過去のそんな自分の犯した過ちを見せられて目を逸らしそうになる。
だが過去の映像はどんどんと進んでいく。
『んで、デクっってのは何もできねぇ奴なんだぜ!』
『やめてよー……』
出久がそれで泣きそうな表情になっていたのに、自身ときたらそんな視線に気づこうとも、気にもしなかった。
この時からすでに爆豪の出久いじりが始まっていたのだ。
『かっちゃんの“個性”、かっこいいなー。僕も早く出ないかなぁ……?』
『どんな個性が出たって俺には敵わねぇよ』
「(…………)」
まだこの時は出久の個性診断が出ていない時だったから仲は良かったと思う、と爆豪は無言でその光景を見ていた。
そしてついにその時が来た。
『デクって個性がないんだって』
『ムコセーって言うんだって』
『だっせー』
同じ年代の子達がショックを受けている出久の事をバカにしていた。
そして幼少時の爆豪自身も出久の事をバカにしたような視線を送っていた。
さらにはこう思ってしまった。
《デクがいっちゃんすごくない》
それが拍車をかけて幼少時の爆豪は出久の事を本気でバカにしだす。
そして次第にいじめにもなりうるキッカケとなった出来事。
幼少時の爆豪が川に落ちた時だった。
普通に平気だったのに、出久はこう言った。
『大丈夫? 立てる?』
それが無性に幼少時の爆豪のプライドを抉った。
それからというもの爆豪は出久にきつい言葉をかけるようになっていった。
何度も出久を痛めつける光景が過ぎていく。
それでも出久は何度も爆豪の後ろをついてくる。
「(当時は鬱陶しかった……でも、デクからしたら必死だったんだな……。表情を見れば分かる。こんなクソガキな俺の事を見切りもせずに憧れ続けていてくれた……。なのに、俺は自分本位でそんなデクの視線にも気づこうともしなかった……)」
そんな拗れた一方的な関係が小学五年生まで続いていた時に爆豪は出久の事が少しわからなくなっていた。
無個性で迫害を受け続けていたのに、それでも学校にはしっかりと登校してきて毎日爆豪に「おはよう」と言ってくるのだ。
なんでそこまで平気でいられる……?
当時そう思っていた自分を殴ってやりたいとその映像を見ていた爆豪は思った。
「(そうだよ……。平気なわけがねぇ……ふ
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