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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
79話:手合わせ
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れんぞ?我々では思いもつかぬ禁じ手染みた事もやりかねんからな。あの方は......」

確かに良くわからぬ凄味のような者がリューデリッツ伯にはある。思わずワーレン大尉と顔を見合わせてしまった。禁じ手か、どんなものがあるだろうか......。

「今回は戦術シミュレーターでの手合わせだったからな。実戦では死に兵など使えんが、そう言う事もされそうではあるな。そんな事をしても実戦では使えん。ミューゼル卿の為にならんからされないであろうが」

「見届け人の立場からすると、卿らの戦術眼は観戦していて楽しかったし、それになんとか挑もうとする若人の頑張りは観ていて励みになる部分が多かった。この場を借りてお礼申し上げる」

見届け役をされていたメックリンガー中佐が、一旦雑談を区切るように感想を述べられた。

「この後の事だが、3戦分の分析を行い、自分の担当しなかった対戦の振り返りを、ミューゼル卿たちと行ってもらうことになっている。対戦分析は伯にも提出する事になっている。笑いながらではあったが、『一手、ご教授いただこう』などとおっしゃっていた。成果を上げても、それをきちんと報告書にして、上官に承認してもらって初めて功績となる。伯はあまり細かい事は言われないだろうが、最後まで手抜かりなく進めよう」

分析用のメモ帳や戦場図がまとまったファイルが配布されるが、一緒にリューデリッツ伯爵家の紋章入りの封筒が入っている。中身を見ると、それなりの額の紙幣が入っているのが見えた。

「伯は無料で何かを頼むのは嫌いなお方だからな。お返ししようとしても『君の時間には価値が無いのかい?』と言われて受け取らされるのがオチだ。有意義につかえば良い」

講師役をしているから慣れているのだろうか?ロイエンタール卿が手慣れた感じで内ポケットにしまい込んでいる。確かにお返しに上がった所でそんな事を言われれば、受け取らざるを得ないだろう。ならば、頂いた礼金分の成果をしっかりお返しするだけだ。用意されていた帝国ホテルのコーヒーが皆に回った所で、本格的に分析が始まった。若手の中でも優秀な連中との分析だ。楽しい時間になるに違いない。
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