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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
79話:手合わせ
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からお世話になる上官の皆さんにも、指揮することになる部下の方々にもそういう思いで帰りを待つ方がおられることを忘れないでほしいの。それでは別邸に参りましょう」

確かに最近は自分の事に精一杯で、心配しているであろう方々への意識がおろそかになっていたと思う。任官の前に、一度両親に顔を見せに行こうと思った。


宇宙歴791年 帝国歴482年 1月上旬
首都星オーディン 帝国ホテル 第一会議室
コルネリアス・ルッツ

「リューデリッツ伯が見込まれて後見人になられただけの事はあったな」

「うむ。初戦も伯が参謀役ならあそこまで押しまくることは出来なかったやもしれんな」

開始早々に全面攻勢を仕掛けて圧倒したファーレンハイト卿とビュッテンフェルト大尉が雑談しているのが聞こえる。この2人の攻勢をさばいて隙を見て反撃して押し返すというのは、余程防衛戦に練達した人材でなければ難しいだろう。そう言う意味では幼年学校の生徒が、かろうじてとは言え3波に渡る攻勢を、押し返したのだ。宝石の原石であることは十分に示したという所だろう。

「講師役としては悔しい光景だったな。もう少し形勢不利な状況でも落ちついて耐える事が出来れば、5波くらいまでは耐えられたやもしれんが、同じ土俵に乗ってしまった時点で、厳しい戦いだったな」

「うむ。そう言う意味では我らが相手取った第二戦は大したものだった。あの手この手で引っ掻き回すつもりだったが、見事に対応して見せたしな。ただ少しずつ戦力の消耗差が出る形になったから最後は押しきれたが......。講師役としては教え子の成長を喜ぶと同時に我らもおちおちしてはおれんといった所だろうな」

次戦の二人は、攻勢と守勢を織り交ぜながら、多彩な戦術を仕掛けた。もっと翻弄されるかと思ったが、『私は後見人だから』とミューゼル卿たちの傍に席を移すと、狙ってくるであろうことをつぶやきだした。それから見違えるように動きが良くなったように思う。何を仕掛けてくるか分かれば、十分対処が出来る。あとは意図を探る部分だが、こればかりは実戦経験を積むしかない。戦術シミュレーターを積み重ねても限界があるだろう。

「そういう意味では伯が参謀役になられた最終戦は、小官たちにとってはいささか不本意な展開だったな。正直な所、後方メインで軍歴を重ねられていたし、ここまで意図を見透かされるとは思わなかった。評価が下がってしまったのではないかと不安に思った位だ」

「伯の本質は事業家だからな。戦術とは突き詰めれば局地的な数的優位をどう作るかだ。その辺はむしろお得意なはずだ。私には教えて頂けなかったが、事業競合の潰し方やら、株の仕手戦のやり方やら、随分殺伐とした内容をオーベルシュタイン卿には仕込んだらしいからな。そう言う意味では周囲の目があって良かったかもし
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