暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第20話 消せない灯火
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
め、僕は全く殺す気はなかったんですけどね。あくまでもミスディレクションのためでしたから」

 またしても驚愕の事実が突きつけられる。セレシアの頭は次々明かされる事実に消化不良を起こし、次々積み重なっていく疑問に思考回路をショートさせられながら、どうにか考えようとする。

 相手は、そんなセレシアに次々と現実を突き刺していく。

「話を戻しましょうか。尾行魔法のおかげであの家にたどり着けた僕が聞いたのは、あなたとフローラさんの会話と、その後のエース・フォンバレンとフローラさんの会話。非常に有益でしたし、何より予想が現実に変わった」

 自分に酔うように語るエアード。頭は十分に働かないながらも耳から情報を取り入れ消化不良を起こし続けた結果、最もたどり着いてはいけないものに、セレシアは最初にたどり着いてしまった。

「じゃ、じゃあ、今回さらわれたのは……」

「そう。君のせい。君が気づかなかったおかげで、僕はあそこに余裕をもってバレずにたどり着けたんです。つまり妹がさらわれる手助けを君がしていたってことなんですよ。いやぁ、非常に助かりました。手間が色々と省けましたし」

「え、うそ……だよね…………違うよね…………?」

 その事実に行き着いておきながら、なおも否定したい気持ちが上回ったために恐る恐る聞いたセレシア。足元がおぼつかない状態の彼女に対してエアードから容赦なく突きつけられた事実は、精神をごっそりと削り取っていく。

 その結果として出来たのが今の構図。口角が上がり、獲物を狩るのが楽しみで仕方がないとでもいうような様子のエアードと、脆くなった精神状態のまま満身創痍で構えるセレシア。

「さて、種明かしもしましたし、そろそろよろしいですかね?」

 これまで仮面の下に隠していた牙が、すべてを知った絶望に沈みゆく少女に容赦なく襲い掛かる。

 月光が差し込み神秘的な光景の広がる森の中に、黒に塗られた鮮血と、静寂をかき消す悲鳴が広がっていく。


[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ