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銀河英雄伝説〜其処に有る危機編
第十話 溜息しか出ない
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に周囲が私を持ち上げ過大評価し敵視している。一体如何なっているんだ?」
エーリッヒが首を傾げている。本当に分からないらしい。本気で頭が痛い、溜息が出た。

「最初に言っておこう。俺も卿が同期の出世頭だと思う」
「ナイトハルトは宇宙艦隊の正規艦隊司令官だよ。私は士官学校の校長。それでもか?」
心外そうな口調だ。本気で思っているらしい。
「それでもだ。卿が士官学校校長になったのは第三次ティアマト会戦の責任を取ってだ。だがあの件で卿を責める人間は居ない。あれは勝つためには已むを得なかったと皆が見ている。つまりだ、卿が士官学校校長になったのは不当だと皆が見ているのだ。士官学校校長は一時的なものでいずれは軍中央に復帰するだろうと見ている」
エーリッヒが顔を顰めた。士官学校の校長は居心地が良いらしいな。

「それに万一の場合、卿は国内の治安責任者になる」
「そうなのか?」
思わずまじまじとエーリッヒの顔を見た。冗談では言っていない。本気で疑問に思っている。
「分かっていないのか?」
「いや、ミュッケンベルガー元帥が居るだろう。私の出る幕は無いんじゃないのかな」
なるほどと思った。だから危機感が無いのか。貴族達が敵視していると聞いてもピンと来ていない。

「元帥は居る。だが卿には実績がある。元帥が責任者になるとしても卿を側に置くだろう。事実上の責任者は卿になると俺は思っている。他の皆もそう思っている。卿に憲兵隊と情報部が護衛に付いているのもそれが理由の一つとして有ると思う」
「……」

「それに士官学校校長になった事で卿はより自由な立場になった。帝国軍三長官により密接に繋がる事になったのだ。今では兵站統括部から士官学校校長への異動はそれが狙いだったのではないかとも言われている」
「有り得ない、馬鹿げているよ」
エーリッヒが首を横に振っている。不本意の極み、そんなところだな。

「貴族達の事は?」
「危険だ。さっきも言ったが万一の場合、卿は国内の治安責任者になる。士官学校の校長になって左遷されたと思っていたが帝国軍三長官との結び付きはむしろ強まった。リヒテンラーデ侯との繋がりも強くなり政治にも関与しつつあると見ている。それに連中は卿に顔を潰されたと考えているんだ」
「何の事だ?」
溜息がまた出た。こいつは何も分かっていない。エーリッヒが済まなさそうな顔をしている。段々切なくなってきた。

「卒業式の事だ」
「……」
「皇帝陛下の御臨席の事に腹を立てている」
「……良く分からないな」
駄目だ、如何しても溜息が出る。ライオンに向かってお前は猫じゃない、ライオンなのだ、周囲が危険だと思う猛獣なのだと説明している気分だ。でも肝心のライオンは自分が無害な猫だと思い込んでいる。

「貴族達でも陛下を自邸に招けるのはブラ
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