序章 運命の出会い
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今でも眼に焼き付いている光景がある。
あれは十年前の事だ。
当時祖国ラキアに1人の女神が3人の眷族と共に現れた。
彼女達は世界の中心である迷宮都市オラリオから来たと言った。
遠くオラリオからやってきたその
一団はたった四人で王城に乗り込んだ。
「アレス??姑息な真似しよってから
に」
乗り込んできたその一団の朱色の髪の主神は事もあろうに、母国ラキア王国の絶対神である闘神アレスの胸ぐらを、啖呵(たんか)切って掴んだ。
王城で起こったこの前代未聞の
出来事は、彼女らが持ってきた魔法のアイテムでラキア王都上空に映し出されており、本来なら入る事すら
出来ない王城の中の様子をつぶさに
映し出されている。
そこには自国の神が、王よりも立派な椅子に座ったまま、朱色の髪の
細い体の女に胸ぐらを掴まれている
姿があり、その朱色の髪の女性の背後に、金髪の大きな槍を持ったパルゥムとその左側に髭を蓄えたドワーフが背中に大きな斧を2つ背負い、そのドワーフの右隣には深緑の長い髪の絶世の美女である、ハイエルフが並ぶ。
パルゥムにドワーフに、ハイエルフと珍しい組み合わせ。
だが当時ラキアの一人の平民の子供だった自分には、その異色の組み合わせの三人よりも、印象に残ったのは……
エセ関西弁で王よりも偉い主神アレスをぼろくそに貶し、首根っこ掴んだまま睨みつけ見下ろす一人の女神。
彼女が言うには主神アレス様は
オラリオに自分のファミリアの腕利きを送り込み、ロキファミリアの団員を襲い、その罪をフレイヤファミリアに擦り付け、ロキファミリアと
フレイヤファミリアの、オラリオ
最強の2つの派閥を同士討ちに
しようと画策したのだそうだ。
自国の兵だけでなく、犯罪組織の
腕利きまで雇ってまでしたその計画は、あっさりロキファミリアの団員に返り討ちにあい、捕まった兵士達が白状してしまい計画が発覚。
闇派閥との抗争でイラついていたロキをブチキレさせ、前代未聞の王城への殴り込みへと発展した。
朱色の女神に足蹴にされて、ロキ許してくれと、何度も許しを乞う闘神アレスの無様な姿は
当時十歳の少年の心から、主神への
敬愛を失わせるには十分だった。
失った主神への思いに、変わり芽生えたのは朱色の髪の女神への愛。
これがラキア王国の平民の子供
である、日下飛翔ルーガーの初恋だった。
少年はやがてオラリオへと旅立つ事になる。
十年前に芽生えた変わらぬ思いを胸に。
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