第六章
第60話 的中
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んだ向こうには、三方を山で囲まれた盆地が広がっている。
神は松代大本営が造られていた頃に、上からここを見たことはあるらしい。
一つ一つ、説明をしてくれた。
盆地の中央奥に浮かぶドーム状の独立した山が、皆神山。
そして右手前には、象山。
右奥には、舞鶴山。
この三つの山の下に、地下都市が広がっている。
タケルの話では、この時代においても、地下都市内では三つの山がそのままの名前で呼ばれているそうだ。
ただし内部は、俺の時代の松代大本営跡よりもだいぶ拡張されているとのこと。
三つの山の間には連絡通路も存在しており、それぞれ行き来ができるようになっているらしい。
こうやって櫓の上から見渡すと、あらためて地下都市に到着したという実感が湧いてくる。
いよいよだ。
***
「地下都市側に動きがありました! 軍が外に出てきたようです! 数は千人程度!」
本陣の幕内に伝令が飛び込んできたのは、櫓を設置した日の翌日の午後だった。
地下都市の行動パターン分析によるレンの予想は、見事に的中したことになる。
もちろん、こちらにはありがたい流れだ。
作戦が予定どおり進められる可能性が一段と高くなった。
ただ、やはり……。
なんで出てきてしまうのかなあ、とも思ってしまう。
普通に考えれば、地の利を生かして籠城。いや、もっと言えば、降伏が一番まともな選択のはず。
なぜそうしないのか。
総裁の判断と思うのだが、その周りの人間たちも、「無駄なことはやめましょう」となぜ言えないのだろう。
一億玉砕の思想が生み出した、松代大本営。
地下都市に住む人間は、皆その呪いにかかっているとでも言うのだろうか。
「川の手前まで軍を進めよ」
国王の合図により、軍は基地の守備兵を残し、川のほうまで前進した。
櫓の見張りからの伝令が、ひっきりなしに陣に飛び込んでくる。
どうやら地下都市側の軍も、川の対岸近くまで来ているらしい。
伝令は、「ネズミ色の軍」という表現をしていた。
これまたタケル情報ではあるが、地下都市側には『警備隊』と称する戦闘員の組織があり、くすんだ緑と灰を合わせたような色の軍服を採用しているらしい。
おそらくオリーブドラブという色だと思う。
俺の時代の自衛隊の作業服にも使われていた色のはず。野外で見るとネズミ色に見えるのだろう。
川を挟んで地下都市側の軍と睨み合いの状態となった。
これも作戦どおりである。
これで、相手はこちらに攻めてくるにしても、幅の広い川を渡るために濡れなければならない。火薬を使って自爆攻撃される可能性は下がることになる。
兵士は、念のため拳銃対策
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ