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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
78話:工作
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ずだ。むしろしれっと佇んでいるロイエンタール卿の方が異常なのだ。そう思うと落ち着けるような気がした。

そうこうしているうちに、前触れが伯の到着の知らせをもたらし、主催者が入室してくる。皆が敬礼をするが、伯の敬礼が異様にサマになるのを失念していた。無様な敬礼と映ってはいないだろうか?そんな事を心配していたが、

「堅苦しいのは抜きにしよう。むしろ私も出世したものだ。未来の艦隊司令官候補が集まってくれたのだからな。まずはコースを楽しんでくれ。私は途中でお暇するが、支払いは私が持つという話を支配人ともしている。お願い事を聞いてくれた感謝の気持ちだ。まあ、私の財布が空にならない程度に配慮してくれれば助かる。では、乾杯」

伯がグラスを掲げるのに合わせて、皆が乾杯と言いながらグラスを交わしあう。帝国ホテルのすべての年代物のワインを開けても。伯の財布が空になることは無い。支払いは持つから好きにやれという時に伯が良く言われる言葉だ。参加者はそれを知っていたのだろう、皆、嬉し気な雰囲気だ。

「前菜が来る前に、本題をすましておこう。来年の手合わせについてだが、初戦はファーレンハイト卿とビッテンフェルト大尉、次戦はロイエンタール卿とミッターマイヤー中尉、最終戦はルッツ大尉とワーレン大尉にお願いしたいと思っている。初戦は口を出さないが、次戦には私なりに意図をこぼすつもりだし、最終戦では私が参謀役をするつもりだ。
そもそもこのメンバーに勝てるなら、佐官待遇をせねばならんし、学んで欲しいのは我慢する事だ。初戦では攻勢で押しきってもらい、次戦で戦術の深淵を感じさせ、最終戦で敢闘させる感じだな。塩梅はこちらで調整するから、諸君は戦術シミュレーターでキッチリ実力を示してくれれば問題ないだろう」

自然とファーレンハイト卿と視線が重なる。周囲に目線を向けると他の面々もタッグを組む相手と目線を交わしていた。お互い知らぬ仲ではないし、年末年始にすり合わせを行う時間もある。準備期間は十分だろう。

「伯、シュミレーターは最新のものを当日はご用意されるとのことでしたが、出来れば数回は事前に試しておきたいのですが、ご配慮をお願いしてよろしいでしょうか?」

「もちろんだ、一週間、こちらの大会議室と控室として数部屋借り受ける手筈になっている。そちらの手配はメックリンガー中佐が受け持っているので、詳細は別途確認しておいてほしい」

その辺りは、お変わりないようだ。伯の下で副官の真似事をしていた際は、結果を求められることが多かったが、それなりの結果が出せるように環境が整えられていた。当初は目の前の事に精一杯で、気づかなかったが、メルカッツ提督の下に異動してみて気づいた事だ。俺も士官として指示を出す側だ。拙いなりに部下が結果を出しやすいように配慮を心がけている。
伯はコ
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