暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
78話:工作
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ッテンフェルト

「しかし、若手の有望株がかき集められた感じだな。リューデリッツ伯との会食は初めてではないが、通常は邸宅の方で行われるはずだ。帝国ホテルの特別室とは、何かお考えがあっての事なのだろうか?」

「お礼の先払いのつもりなのだろう。それに対戦前に、その相手が暮らしている邸宅に集まるわけにもゆくまい。ちなみに今日のコースはシェーンコップ卿がアレンジしたものだ。美味ではあるだろうが、あからさまではない遊び心みたいなものがあるはずだから、その辺に留意するようにな。まあ、ミッターマイヤーは楽しく味わえば良いと思うが」

同期のロイエンタールとひとつ後輩のミッターマイヤーの雑談を聞きながら、主催者である伯の到着を待っていた。開始予定にまだ間があるが、万が一にも遅れるわけにはいかない。予定の1時間前にはロビーについていたが、おそらく伯のご配慮だろう。『ビッテンフェルト様ですね?こちらへ』と、帝国ホテルの支配人に声をかけられ、この最上階の特別室へ通された。同じ心境だったのだろう。45分前には、主催者を除いて参加者が揃っていた。

「ビッテンフェルト大尉、あまり硬くならぬことだ。最近ではメルカッツ提督にもお褒め頂くことが増えている。伯は礼儀作法にもうるさくは無い方だ。気楽に楽しめば良いのだから......」

隣に座るファーレンハイト卿が気遣う様子で声をかけてくる。緊張はしていないつもりだが、硬くなっているように見えるのだろうか?それはそれで困る。上官として何かとご配慮をして頂いたリューデリッツ伯に、ビッテンフェルトはちゃんと成長していると、安心して頂く予定であったのに......。

「ファーレンハイト卿、心配をかけてすまない。伯には色々と気遣って頂いたのでな。ちゃんと励んでいるとご安心頂きたいと思っていたのだが、それが空回りしておるのやもしれぬ」

備えられていたデキャンタを手に取り、冷水をグラスに注いて飲み干す。少しは落ち着けただろうか?だが同じような心境の参加者が俺以外にもいたようだ。ルッツ大尉とワーレン大尉がデキャンタの置かれていた一角に歩み寄り、冷水を注いで飲み干した。俺の視線に気づいたのだろう。少し苦笑しながら

「伯と会食する場には、ルントシュテット伯爵家のディートハルト殿がいつも同席されていたからな。少し緊張しているかもしれん」

ルッツ大尉が恥ずかしそうにしながら心境を話すと、同意するようにワーレン大尉がうなずいた。緊張しているのは俺だけではなかったらしい。それが解ると少し落ちついた。士官学校の関係者なら生きた伝説で軍の重鎮、陛下とも親しい。間違って不興を買えば軍人としての栄達は断たれる。そんな方に見込まれて抜擢されれば、確かにチャンスだろうが、しくじればどうなることか......。と思わない人間などいないは
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ