78話:工作
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。やり遂げた暁の方も期待したいところですが......」
「楽しみにしておくことだ。少なくとも不可侵ではなくなった自治領の主などより、やりがいも影響力もある役割をとお考えになられている。君の志向にも合った仕事だ。それと、言うまでもないがこの件は、君が『信用』できるか試す、最初で最後の機会だと認識してほしい。実力は認めておられるが、今のままでは『信用』するのは難しいとのご判断だ。私は君の上昇志向はフェザーン自治領主候補に相応しいと思っていたが、自陣に招き入れるには不安と思われるのも致し方あるまい?」
その通りだろう。自治領主になるには周囲にそれを認めさせなければならなかった。言わば俺の下につく事を納得させなければならなかった。だが、誰かの下につくとなれば、当然それはマイナス評価になるだろう。外様になる訳だし、後継者も既に決まっている。だが、このまま軍門に降るのは、いささか素直すぎるのではないだろうか?
「それと、この役目は君が『信用』出来るかを試すものだ。役目を果たしても『信用』できないと判断されるようなことも控えておいた方が良いだろう。もっとも彼らを担いで勝負が出来ると思うなら、そうするのも良いだろう。ただしこれは『最初で最後の機会』だ。それだけは肝に銘じておいてくれ」
「それは伯のお言葉でしょうか?」
「そうだ。任せるなら実力に応じた役割を任せたいが、『信用』出来なければ大きな役割は任せられない。小さな役割なら、わざわざルビンスキーさんにお願いする必要がないだろうとのことだ。後任として問題に対処してもらったし、私は君の実力を分かっているつもりだ。どちらを選ぶかは君の判断だが、同じ陣営で一緒に働けることを願っている」
試験のような甘っちょろい物ではない。これは踏み絵だと思ったほうがよさそうだ。おそらく変に保険をかけるだけでも失格になるだろう。さすがにあの『野生児』どもと『保育園の責任者』たちに、自分の将来を賭けるなど土台無理な話だ。
「それと、ボルテック君には頼みたいことがあるから、例の証券会社へ出向させてほしい。補佐官の椅子が一つ空くから、君が可愛がっていたケッセルリンク氏だったか?彼を抜擢すればよいだろう。こちらからは以上だが、なにかそちらからはあるかね?」
「いえ、とくにはありません。ご期待に沿えるように励むとルビンスキーが申していたとお伝えいただければ幸いです」
おれが了承した旨を確認して、通信は終わった。一瞬身体が固まってしまったが、まさかルパートの事まですでに調べ上げているのだろうか......。明言されなかったからこそ、単なる好意なのか、警告なのか掴みかねるところだ。
宇宙歴790年 帝国歴481年 12月上旬
首都星オーディン 帝国ホテル 最上階特別室
フリッツ・ヨーゼフ・ビ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ