第六章
第58話 法則
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都市のやり方って、ちょっと変な傾向があると思う」
「変な傾向……?」
思わず、俺とタケルは顔を見合わせてしまった。
「うん。特に、地下都市にとってシナリオが崩れたポイント――リク兄ちゃんが遺跡に行ったあたりだね。あの辺からの地下都市の動きが参考になると思うんだ。ひたすら行き当たりばったりなことをしてきてる気がしない?」
それは大いにうなずける話だと思った。
真っ先に思い当たるのは、意味が薄れてきているはずの「国王暗殺」未遂を繰り返してきたことだろう。
遺跡発掘再開のときはともかくとして、神降臨パーティの場やミクトラン城での会談の場での暗殺未遂については、無意味としか思えなかった。成功したとしても地下都市の寿命がわずかに伸びるだけで、リスクを冒してまでやることではなかったはずだ。
ひょっとして、地下都市の執行部はあまり頭がよくないのではないか――そう思ったこともある。
それくらい、戦略的にはレベルが低い作戦を展開してきていたと思う。
「そんな気はする。こんなことして何の意味があるんだろう、と思ってた」
「だよね。どうもさ、方策を採用するにあたって、『地下都市の未来』とか『住民の未来』とか、そういう大きな考え方がないような気がするんだよね。
とにかく目先の延命だけを考えているような、『打てる手段があるなら入れ込んでいけ』っていう破れかぶれな印象があるよ」
「それもお前の言うとおりだと思う。なんかこう、ヤケクソ臭があるんだよな」
「だからさ、たぶん、こっちの軍が地下都市近くまで行けば、向こうは『とりあえず』ということで、打って出てくるよ」
「なるほど。それって、単なる籠城よりも、まずその前に野戦というアクションが挟めるじゃないか、ということだな?」
「うん。意味はなくても、そのほうがコマ数が伸びるからね。そうしてくるはず」
もし実際にそうしてくるなら、本当に酷いなと思う。人命を重視するという考えがまったくないことになる。
まあ、ないから自爆を命じたりできるんだろうけど。
彼は「しかも――」と続ける。
「ボクのカンが正しければ、野戦でにらみ合う状態になったら、こちらが動かないと向こうもそのまま動かないかもしれない」
「……。それって。出てきたはいいけど、『自分たちから攻めても戦力的に勝てないから、そのまま時間稼ぎを』という展開になるということか」
「うん。そういうことだね。自爆してくる可能性ももちろんあるけど、その場合でも一気じゃなくて、少しずつになるんじゃないかな。対処はできそうな気がするよ」
ふむ……。
少しこちらに都合のよすぎる予想にも思える。だがレンの考察しているように、今まで地下都市側が行き当たりばったりな策を取り続けてきているのも事実
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