第六章
第58話 法則
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
かもね。総裁に会って、話して、それで話が通じるようであればよし、通じないようであればダメ。そう結論を出してもいいのかもしれないよ」
「……!」
隣のタケルを見ると、その発想に驚いているようだ。
だが、俺としてもそれしかない気はしていた。
「総裁に会う、か……。まあ、そうだよな」
一般には、双方の被害を出さずに終戦に持ち込むための定番戦法として、「兵糧攻め」が知られている。
ところが、地下都市は食料やエネルギーを自給できるために、今回の作戦においては無意味である。逆にこちらの食料が尽きて、撤退に追い込まれることになる。
やはり、被害をなるべく出さないということを考えた場合、選択肢としては「話す」以外の方法はないと思う。
ただ、上層部でも自爆するような組織だ。誰が出てきたとしても話し合ってもらえる気がしない。
ということは。
話し合う相手としては、もう総裁本人をおいて他はありえないことになる。
しかし、だ。
「俺もそこまでは頭の中でたどり着いているんだ。だけど、どうやってそのステージまでいくかが全然イメージできないというか……。地下都市の外に総裁を引きずり出すのは、とても無理なんじゃないかと思うんだが」
そう言って横のタケルに視線を向け、発言を促す。
「僕も無理だと思います。基本的に外に出ないどころか、執務室などいくつかの部屋から出ることがなく、僕自身も総裁の姿を一度しか見たことがありません。呼びかけたところで、出てくる可能性はゼロでしょう」
「うん、外に引きずり出すのは無理なんだろうね。仲介役もいないだろうし」
「じゃあ、どうすればいいんだ……」
「もし会いたいなら、突入して会いに行くしかないよ」
レンはさらりと答えた。
「いや、それは無理だろ。『組織』は地下都市に籠城するだろうから、大虐殺ショーの後でないと、一番奥にいる総裁には会えないと思うぞ?」
しかし、続いて彼の口から放たれたのは、俺の想像もつかないような予想だった。
「たぶん、最初は籠城しないよ。戦闘員だけ外に出てきて、野戦になると思う」
そんな馬鹿な、と思った。
タケルも横で「え?」というような顔をしている。
「まさか。タケルの話では、戦闘要員は千人もいないらしいぞ。打って出てくるとは思えないんだが」
「僕も出てくるとは思えないです」
しかしレンは再度言った。
「いや、たぶん出てくるよ」
「ずいぶん自信がありそうだな。なんでだ?」
「少し思うところがあって」
「……?」
「ボクとボクの先生で、クロさんとリク兄ちゃんの軌跡を書いてるのは知ってるでしょ? それでちょっと気になったことがあったんだ」
「気づいたこと?」
「うん。地下
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ