暁 〜小説投稿サイト〜
稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
76話:我儘
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、伯の下にいると多い。俺自身も、いずれそうなりたいと思っているが、気恥ずかしいので内密にしている。

「俺の場合はメックリンガー中佐が先任でおられるから、まあ心配はしていない。ルントシュテット艦隊にはシェーンコップ大佐がいるが、あの人は艦隊参謀より、陸戦部隊の指揮官に転向しそうだしな。伯の周囲に艦隊司令候補はたくさんいるから、人材が少ない所を補うつもりのようだ。まあ、一度手合わせした装甲擲弾兵副総監のオフレッサー大将に見込まれた部分もあるらしいが......」

「あの方も、我らの前では兄貴分だが、伯にはあの方なりのやり方で忠誠を尽くしておられるからな。口で忠誠を誓う事は誰にでもできるが、実際に忠誠を自己流の行動で示すのは難しい。同じことが出来るとは思えぬが、そういう生き様を好ましく思える自分ではありたいと思う」

俺が答えると、ロイエンタールは少し笑みを浮かべ。一度グラスを傾けてから

「シェーンコップ卿は大奥様に礼儀作法を習っていた頃から何も変わっていないのだ。誰にでもわかる流儀は好まず、自分の感性が通じる人間にのみ伝われば良いという流儀だからな。天の邪鬼と言うか、へそ曲がりと言うか......。伯はどちらかと言うと相手に合わせて感性を変える方だが、大奥様が、彼の試行錯誤をかなり喜ばれてな。
思い返せば、大奥様もかなり感性が鋭い方だった。今思えば、至らないなりに俺のアレンジした会食を経験して頂きたかったな。シェーンコップ卿は『公式の場で伯の名を貶めるわけにはゆかない』とお願いして、何度か会食を経験して頂いていたはずだ」

「卿らにも可愛げがある幼少期があったと思うと、それはそれでおかしみを感じるな。あのオーベルシュタイン卿の幼少期を知っているだけでも、俺は羨ましさを覚えるが......」

ロイエンタールは一瞬こまったような表情をした。

「ミッターマイヤーなら他言はしないだろうが、伯と奥様を含めて、当時、あの屋敷に揃っていたのは良くも悪くも普通に両親に養育されずに育った面々だった。大奥様が皆の母親役だったのだと思う。オーベルシュタイン卿は幼少から優秀だった。だがな、俺とシェーンコップ卿は彼が夜な夜な勉学に励んでいたのを知っている。先天的に義眼を必要とする生まれを蔑まれて来た中で、やっと得られた温もりと居場所を失いたくなかったのだ。似たような思いは俺にもあったから良くわかる。
シェーンコップ卿は少し違うが、酒の席で連帯保証人になり、先祖代々の家を窮地に追い込むような祖父より、その危機を何でもないかのように解決してくれる本物の貴族から少しでも学び取りたいと思うのは当然だろう。ミッターマイヤーが知る必要もないが、貴族社会には思わぬ落とし穴があるのだ。ロイエンタール家も落とし穴に引っかかった口だしな......」

そこまで
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ