第六章
第57話 地下都市へ +用語・登場人物紹介
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下都市に死人が出るのはもう避けられそうにない」
「それは仕方ないと思います。相手があることなのですから。こちらが話し合いたくても、相手にその気がないとどうにもなりません。
僕のほうこそ、元仲間たちが迷惑をかけて申し訳ないと思っていますよ。まさか会談にすら応じないとは思っていませんでしたし。上層部の人が自爆するなんてことも完全に予想外でした」
「……。まあ、でも。すまないな。自信満々に約束したのに」
彼は首を振る。
「でも、リクさんがここまで考えてくれたのは、僕のためにという部分もあるんですよね?」
「そうだよ。約束したし」
「そこまでしてくれたこと自体が、僕には嬉しいんです」
「……そっか」
「だから、結果が出なくても気にしないでください」
「ありがとう。でもまだ時間はあるんで、ない知恵を絞って次善の策を考え続けるよ」
「あまり思いつめないでくださいね」
「ああ、大丈夫だよ」
彼はダメでもよいと言うのだが、やはり俺はなんとかしてあげたい。
まだ妙案は見つかっていないが、何か工夫できることがあるはずだ。それを探さなければ。
「そういえば、神さまも褒めてましたよ。リクさんのこと」
「え?」
「『無駄なのに一生懸命に考えていた』と言っていました」
……。
「それ、褒めてないだろ」
「いや、あの感じは褒めてましたよ。『だからもし最悪の結果になったとしても、彼を責めないでやってくれ』とも言われましたから」
「……なんか、人間みたいなことを言うようになったよな。あのひと」
「前からそうじゃなかったですか?」
タケルはそう言うが、少し前まではそんなことはなかったと思う。
神本人は否定していたが、美しい庭の虫とやらに影響されつつあるのでは? と勘繰ってしまう。
さて、馬に乗ろう。
俺の馬には、すでにクロ用の鞍も装着済だ。
まず自分が乗り、それから兵士に手伝ってもらって、クロを俺の前に乗せてもらう。
「悪いな。また揺れるが我慢してくれ」
「大丈夫だ」
首だけ後ろに回し、問題がないことをアピールしてきた。
目が合ったが、これから敵の本拠地へ向かうとは思えないほど、いつもどおりの穏やかな光だった。
「クロ。今回の遠征が終われば、お前も神から与えられた役割を果たしたことになるのかな」
「おそらくそうだ」
「今まできちんと聞いたことがなかったけど、お前も早く帰りたいんだろ?」
「……」
「ん?」
「……そうだな」
少し返事までに間があったが、クロも家族に会って落ち着きたいだろう。
「頑張ろうな」と言ってお互いにうなずき合ったところで、カイルが馬に乗って寄ってきた。
「兄ちゃんごめん、遅くなった」
「時間ギリギ
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