75話:訃報と朗報
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。ドーソン教官とアッテンボローは何かとやりあった仲だし、教官は『根に持つタイプ』だ。アッテンボローにとってはさぞかし頭の痛い話だろう。
「積もる話もありそうだ。どうせお前さん方はこの後の予定もないだろう。さすかに『マーチ・ラビット』は無理だが、飲みながら続きを話すとしよう」
3人でローザス邸を後にし、近場のレストランへ足を運ぶ。キャゼルヌ先輩に餌付けされているような気もするが、断る理由もないし、私自身、積もる話を二人に聞いてもらいたかった。ローザス提督の事も含めて報告書を作成したら、この『歴史家の真似事』みたいな任務も終わってしまうだろう。次の任務の事を考えながら、二人の背中についていくことにした。
宇宙歴789年 帝国歴480年 12月上旬
キフォイザー星域 惑星スルーズヘイム
元フェザーン自治領主 ワレンコフ
「閣下にこの話を受けて頂けて安心しました。先代のケーフェンヒラー男爵の訃報は急な話でしたし、全体を見れる人材が育っていない中での話でしたから。重ねてになりますがありがとうございます」
「リューデリッツ伯、もう私は貴方の部下ですし自治領主でもありません。呼び捨てにして頂いても構いませんが......」
「では『ワレンコフさん』と一先ずお呼びする事にしましょう。同世代で当てにしている方を呼び捨てにするのはいささか気が進みませんから」
そう言いながら、伯は手元のティーカップを手に取り、お茶を楽しむ。私も同じようにお茶を飲んだ。新しい主になるリューデリッツ伯とは、なにかと酒ではなくお茶を一緒に飲む関係だった。知り合って20年以上、かなりの回数お茶の席を共にしたが、回数を数えてみたい気もした。
彼が経営するRC社において、実質的な右腕だったケーフェンヒラー男爵の訃報から数日後に、右腕としてRC社への入社を求められた。命の恩人でもあるし、彼のビジネスの力量は私も十分理解している。断る理由も無かったし少しでも恩返しが出来ればという気持ちもあった。
「シルヴァーベルヒ氏は、見込まれた通り優秀です。5年もすれば十分『右腕』候補になるでしょう。オーベルシュタイン卿からも何かと助けて頂いています。近々で深刻な問題はありません」
「ワレンコフさんにそういって頂けると安心ですね。後は、フェザーン自治領主代行にしたルビンスキーさんの件ですね。ボルテックさんは誠実な部分がありますから安心して任せる事も出来るのですが、ルビンスキーさんはいささか野心が出過ぎていて、RC社の社風には合わない様にも思いますし」
私の後任としてフェザーン自治領主代行になったルビンスキーは、確かに実務能力は高いものの、周囲を蹴り落してでもより上の地位を欲しがる所がある。RC社は働きに応じて地位も報酬も与えられるが、本質的には領地開発のサ
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