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レーヴァティン
第七十七話 八丈島その一
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               第七十七話  八丈島
 一行は八丈島に着いた、その島に上陸して英雄はすぐに言った。
「この島は確か」
「我達の世界だとな」
 幸正がその英雄に応えた。
「流刑地だったな」
「江戸時代にはな」
「しかしこの世界ではな」
「別にか」
「流刑でも何でもない」
 そうした場所だというのだ。
「犯罪者の流刑地はな」
「そうした場所はあってもな」
「この島はまだ統一されていない」
「豪族があちこちにいるな」
「寺社もな」
 そうした様々な勢力が混在している状況だからだというのだ。
「流刑地はそれぞれの勢力であってだ」
「この八丈島はか」
「ここも豪族が治めているからな」
「だからだな」
「流刑地じゃない」
 英雄にこのことを話した。
「そのことは言っておく」
「そもそもです」
 謙二も英雄に話した。
「八丈島が流刑地になったのはです」
「江戸時代からだったな」
「宇喜多秀家がはじまりです」
 安土桃山時代の大名だ、豊臣秀吉の養子であり五大老の一人にもなっている。
「彼からです」
「流刑地になったか」
「そうです、尚彼は半生記の間死ぬまで八丈島にいました」
「一生許されなかったか」
「いえ、実は幕府は何度もそろそろ出たらとです」
「言っていたか」
「はい、しかしです」
 幕府のその言葉をというのだ。
「彼は常に突っぱね続け」
「一生を八丈島で過ごしたか」
「豊臣家が滅んだこともあり」
 彼にとっては主家にあたるこの家がだ。
「十万石の大名に戻ると言ってもです」
「聞かなかったか」
「そして一生です」
 まさに半世紀の間だ。
「三代将軍徳川家光が死ぬ間際かそれ位までです」
「生きてか」
「八丈島に留まり続けました」
 そうだったというのだ。
「そして子孫代々徳川幕府が終わるまで」
「八丈島にいたか」
「そうでした」
「随分頑固な話だな」
「どうも意地だった様で」
 宇喜多秀家そして彼の子孫のだ。
「幕府が終わるまでです」
「八丈島に留まってか」
「幕府に抵抗し続けた様です」
「ある意味凄いな」
「そうですね、そこまで意地を貫くなら」
「それも道だ、しかしな」
 ここでまた言った英雄だった。
「十万石でか」
「そうです、幕府は大名に戻すとまでです」
「言っていたか」
「当時宇喜多秀家は五大老で関ケ原で西軍についた五大老の家は毛利家も上杉家も残っています」
 ただし石高は大幅に減らされている。
「そのこともあったでしょう」
「潰すには大きな家か」
「それに奥方は前田家の人でしたし」
 前田利家の娘だった、そして豊臣秀吉の養女でもあり秀吉に随分と可愛がられていたという。養子にもかなり甘い人物だったのは宇喜多秀家
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