第二章
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「牛乳飲んでまた勉強だよ」
「その前にお風呂入りなさい」
母は妹と話す息子に告げた。
「そうしなさい」
「ああ、次僕なんだ」
「そう、だからね」
「お風呂入れっていうんだ」
「今あんたに言おうと思ってたのよ」
自分の部屋で勉学に励む息子にというのだ、寿は中学では優等生で通っていて毎日勉学に励んでもいるのだ。
「いい時だったわ」
「そうだったんだ」
「お風呂上りの方が牛乳美味しいでしょ」
母は息子にこうも言った。
「だったらね」
「先にお風呂入るよ」
「そうしなさい、後ね」
「後?」
「いい加減気を取り直しなさい」
息子にこうも言う母だった。
「いいわね」
「ああ、阪神だね」
「気持ちはわかるけれど」
「もう落ち込んだままでも」
「どうしようもないでしょ」
「それは僕もわかってるけれど」
寿は母に少しむっとした顔で反論した。
「今年はね」
「最下位だったからっていうのね」
「何で最下位になったのか」
寿は母にそのむっとした顔で言った。
「今検証してるけれど」
「あれだけ打たなくて本拠地で負けたらな」
父が横でぼやいた。
「仕方ないな」
「仕方ないじゃないから、セリーグは二位以下はずっと接戦だったけれど」
今年のセリーグはそうだったというのだ。
「カープ以外は」
「どうも」
千佳はそのカープファンとして兄に応えた。
「今年もね」
「それでも最後に最下位に落ちて」
「終わったな」
「全く、最後は十三連戦とかになって」
今度は父に応えた寿だった。
「最下位で終わるとか」
「やれやれだな」
「全く、今年は優勝って思っていたら」
平成最後の年の覇者になる、阪神はそう意気込んでペナントに挑んだのだ。
「こんな風になるなんてな」
「最下位はないな」
「残念だよ」
「だから気を取り直しなさい」
また息子に言う母だった。
「いいわね」
「わかってるよ、けれどね」
「復活するまでにはなのね」
「まだ少し時間がかかるから」
心の傷を癒すのにも時間が必要ということだ。
「ちょっと待ってね」
「あまり待たないわよ、じゃあね」
「お風呂だね」
「今から入りなさい」
「わかったよ、じゃあね」
寿は母の言葉に頷いた、そうしてだった。
彼は家の風呂場に向かった、千佳は兄のその後姿を見てからやや首を傾げさせつつこんなことを言った。
「私も今年の阪神はね」
「最下位になるとはなのね」
「思ってなかったのよ」
母に苺を食べつつ話した、苺は何も付けず赤いまま食べるのが千佳のスタイルだ。
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