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永遠の謎
331部分:第二十二話 その日の訪れその二
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第二十二話 その日の訪れその二

 その王がだ。今話すのだった。
「ならばだ」
「バイエルンの為にですね」
「あの方を首相に」
「選択肢は限られている」
 王は真剣な顔で話した。
「今バイエルンはドイツの中に入ろうとしている」
「ドイツにですか」
「その中にですか」
「そうだ。限られているのだ」
 そうだとだ。王は周囲に話していく。
「そしてそのドイツはだ」
「プロイセンが軸になる」
「そしてプロイセン王がドイツ皇帝になるのですね」
「そうなるのですか」
「私とてだ」
 王自身もだ。どうかというのだ。彼の本来の望みもだ。ここで話したのだった。
「できればドイツのだ」
「そのドイツのですか」
「この国の」
 誰かが言った。ドイツをこの国だと。それは確かにその通りだった。
 バイエルンは確かにバイエルンだ。しかしそのバイエルンはドイツの中にある。まだ地域でしかないとも言っていいがだ。確かに存在しているのだ。
 それを話してだった。王はこんなことも述べた。
「そうだ。この国はバイエルン中心で進めたいのだが」
「ヴィッテルスバッハ家がですね」
「このバイエルンが」
「そうなのだ。バイエルンがだ」
 そのだ。バイエルンがだというのだ。
「それは神聖ローマ帝国の頃からの望みだ」
「そうですね。それは確かに」
「ヴィッテルスバッハ家は古い歴史を誇っています」
「それこそハプスブルク家以上の歴史を持っています」
「ドイツで最も古い家の一つです」
 そこまで古いのだ。バイエルンのヴィッテルスバッハ家はハプスブルク家、スイスからはじまったその家よりもだ。古いのだ。
 それを話すのだった。王にしても政治的な望みがあるのだ。
 その望みを話してからだ。さらにだった。
「しかし我が家は歴史においてだ」
「常にハプスブルク家の後でした」
「そしてホーエンツォレルン家の」
「常に後でした」
「そうですね」
「神聖ローマ皇帝になったことはあった」
 それもまた誇りだ。しかしなのだった。
「だがな」
「そうですね。それでもですね」
「その期間は僅かでした」
「皇帝はその殆んどがハプスブルク家が実質的に世襲でした」
「我が家がなれたのは僅かでした」
「そして今も」
「バイエルンの運命か」
 王は悲しい顔で話した。
「このドイツでだ。常に他の家の後塵を拝する運命なのだろうか」
「しかし陛下の御言葉ですとです」
「それはです」
 こうだ。彼等は話すのだった。
「時代の流れですね」
「避けられないですね」
「そうなのですね」
「そうだ。どうしようもない」
 まさにだ。そうだというのだった。
「それではだ。首相に彼を任じるのも仕方のないことだ」
「しかし議会は反発しています
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