第二章
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「まさかと思うが」
「そうは考えていないけれど」
「一人の家は寂しいぞ」
袴田はこうも言った。
「奥さんが出張でいない時なんてな」
「寂しかったか」
「そうだ、数日いないだけでな」
それだけでというのだ。
「寂しい、それがずっとだぞ」
「そうならない為にもか」
「浮気は止めておけ」
これが彼の友人としての忠告だった。
「いいな」
「では浮気はか」
「今すぐだ」
まさにというのだ。
「止めることだ」
「それはわかっているが」
しかしという返事だった。
「しかし今はな」
「楽しんでいるか」
「存分にな、しかしな」
「奥さんにばれると思ったらか」
「止めるしかないな、相手もそう言ってきている」
「相手の娘もわかっているんだな」
「浮気だってな」
つまりしてはいけないことだとだ、お互いにわかっているというのだ。
「だからな」
「その時は別れるか」
「そう決めているよ」
「なら早くな」
それこそとだ、袴田は岩本にまた言った。
「別れろ」
「そこでまた言うんだな」
「ああ、そうしろ」
岩本に対して真剣な顔で話した。
「大変なことにならない様にな」
「それが人の筋だな」
「そうだ、早く別れろ」
袴田は岩本に対して世間の常識を話していった、しかしだからといってあっさりと別れることはこうした場合滅多にない。
それでだ、不倫を続けていたが妻は気付いていない様だった。
それで浮気を続けていたがある火だった、家の玄関に何気なくだった。
ダリアの花、鮮やかな色のそれが花瓶にあるのを見た。それを見てすぐにだった。
「別れたか」
「ああ」
バーでだ、岩本は袴田に話した。今も飲んでいるのはウイスキーのロックだ。
「浮気は止めた」
「またどうしてなんだ」
「妻が気付いていたからな」
それでというのだ。
「だから別れた」
「奥さんに言われたか」
「いや」
岩本はそれは否定した。
「言われていない」
「じゃあどうしてなんだ」
「花だ」
「花?」
「ああ、家の玄関に花が飾ってあった」
岩本は袴田に話した、カウンターの隣の席で自分と同じウイスキーを飲んでいる彼に対して話した。
「ダリアがな」
「ダリアか、また派手な花だな」
「赤紫の花をな」
それをというのだ。
「飾ってあった、奇麗だった」
「そのダリアに何があったんだ」
「ダリアの花言葉には優美とかいう意味もあるけれどな」
それに加えてというのだ。
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