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シュタイン=ドッチ
第三章
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「唐の詩にあるな」
「左様ですな」
「では肉もですな」
「違いますな」
「左様でありますな」
「猪の肉か」
 彼等が食っている肉を見れば一目瞭然だった。
「あれは」
「ですな、あの感じは」
「民達は人のものと言っていましたが」
「どう見ても人の肉ではありませぬ」
「我等もならず者達を倒しその首や腕や胴を断ち切ってきましたが」
「その切った面に見える肉とは違いまする」
「どう見ても違う」
 頼光はまた言った。
「だからな」
「あの者達は鬼ではない」
「血や肉を飲み食いしておらぬ」
「左様ですな」
「民達の誤解ですな」
「異朝から来た者、それも波斯ではなく大秦だった辺りの者か」
 頼光は道長や晴明が言ったことをその通りだと思いつつ述べた。
「宋にも来ているそうだしな」
「では宋からですか」
「本朝に来てですか」
「丹波に流れ着いた
「そうなのですか」
「それがあの者達ですか」
「間違いない、ではこれから話そう」
 頼光は自ら前に出た、そしてだった。
 彼等と話した、すると彼等は宋の言葉を喋ってきた。日本の言葉ではないので頼光も戸惑った。それでだった。
 漢文を書いてそれで説明することにした、頼光は地面に漢文を書き彼等に説明した。この文章で書こうとだ。
 彼等もその文章を読んで頷いた、そうしてだった。
 お互いに漢文を書いてやり取りをした、頼光達は宋の文章は書けるが言葉は喋れないのでそうしたのだ。
 するとだ、お互いのことがわかった。それで頼光は彼等とのやり取りが終わって夜に用意された屋敷の中で四天王と平井に話した。
「やはり波斯から西の辺りから来た者達であったな」
「はい、フランドルとかいう」
「その辺りから来たとか」
「フランドル、どんな国か」
「あの者達が何か言っていますが」
「わかりませんな」
「全くじゃ、そしてあの者達の頭目の名じゃが」 
 頼光はいぶかしみつつ言った。
「シュタイン=ドッチというが」
「変わった名ですな」
「宋の文字では酒呑童子ですか」
「この様な名があるとは」
「わかりませんな」
「大秦の王も変わった名だったと聞いていますが」
「シュタイン=ドッチとはあの頭目が言っておったが」
 文章を書く時に一緒に言ったのだ。
「それでもな」
「その様な名とは」
「いや、変わった名ですな」
「葡萄の酒を持って来て飲んでいますし」
「他にも麦を練って焼いたものまで食っています」
「肉だけでなく」
「変わった者達じゃ、しかしこのまま本朝にいても暮らせるであろう」
 こう考えてだ、頼光は述べた。
「だから関白様に確認を取ってな」
「そうしてですか」
「そのうえで、ですか」
「うむ、あの者達をどうするか決めよう」 
 こう言ってだ、
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