第五章
[8]前話
じと目になってだった、こう千尋に言った。
「羨ましくもあるわね」
「ひょっとして胸のことで」
「そうよ、肩凝りする位大きな胸ってね」
「いや、その胸がね」
千尋は唯にこう返した。
「私の悩みでね」
「それで困っていたのね」
「そうなのよ」
「やれやれね。お嬢様でもなのね」
「悩みがあるっていうの?」
「そうも思ったけれどね」
「そう言う唯ちゃんもお金困ってないでしょ」
ここでこのことを言う千尋だった。
「そうでしょ」
「そのこと言うの?」
「だって唯ちゃんね」
それこそというのだ。
「お父さんお店やってるでしょ」
「というかお家がね」
「不動産屋さんで」
「私のお祖父ちゃんよりお金持ちでしょ」
「大阪の梅田でね」
「関西一の繁華街じゃない」
「そこで不動産屋さんやってるけれど」
「だったら私よりずっとお金持ちじゃない」
このことを言ってだった、千尋は唯に返した。二人共体操服の上を着終えていて何時でも運動出来る服装になっている。
「それでそう言うの?」
「雰囲気よ、雰囲気よ」
「それでそう言うの」
「そうよ」
さらに言う唯だった。
「それでね」
「それで?」
「巨乳で羨ましいのに」
「その巨乳が問題だし」
「誰でも悩みがあって誰でも羨ましいと思うものが」
唯は達観した様に述べた、
「違うこともあるのね」
「何か凄く意味深なもの言いね」
「そうかしら、けれど肩凝りはね」
「そうしていけばいいのね」
「それで随分違うと思うわよ」
身体を冷やさない様にしてブラを変えればというのだ、そして実際にそうしてみると千尋は肩凝りに悩むこともなかった。だが彼女のその胸を見てだ。
唯はやれやれといった顔でだ、こう言う様になった。
「また大きくなってない?」
「なってないわよ」
千尋は唯に恥ずかしそうに返した、そんなやり取りが増えてしまった。肩凝りが治っても。
お嬢様で 完
2018・6・15
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