第四章
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「大和でも作られていたのよ」
「大和っていうと」
「そう、戦艦大和よ」
大日本帝国海軍を象徴すると言っていいこの巨大戦艦でというのだ。
「あの中で作られていたのよ」
「手作りで」
「いえ、作る機械があったのよ」
大和の中でというのだ。
「他にもラムネ工場があったのよ」
「そういえばお義母さんラムネお好きですね」
「大和で作られていたからよ」
このことからというのだ。
「ラムネも好きなの、それで羊羹や善哉もね」
「お好きで」
「耕平にも作ってあげてるのよ」
そして食べさせているというのだ、おやつに。
「今もね」
「そうだったんですね」
「ええ、甘いものも食べたらいいけれど」
「そこでもなんですね」
「海軍であるべきなのよ」
こう言うのだった、それも胸を張って。
「帝国海軍こそが最高だからね」
「だからなんですね」
「おやつも海軍が一番よ」
「それで羊羹ですね、今も」
「稲穂さんもたんと食べてね」
「それじゃあ」
「周平とうちの人の分もあるからね」
彼等の分も忘れていなかった、こうしてだった。
耕平は羊羹も食べて美味しいと言った、そうして夜は夜で今度は東郷平八郎がイギリスで食べたビーフシチューを食べるのだった。
そうして耕平は成長していってだ、保育園から幼稚園小学校ひいては中学校に進むとだ。背筋の伸びた生真面目な少年に成長していたが。
いつもだ、剣道と勉学に励みつつこんなことも言っていた。
「何で旭日旗が駄目なんだ!」
「あの国のことね!」
「そうだな!」
祖母の智美だけでなく祖父の要平も言ってきた。
「旭日旗が戦犯旗と言っているな!」
「全く以てふざけたことね!」
「お祖母ちゃん、お祖父ちゃん僕は絶対に許さないから!」
端正できりっとした顔で言うのだった。
「そんなこと言う奴は!」
「旭日旗は帝国海軍の誇るべき旗よ!」
「あれだけ素晴らしい旗があるか!」
「ハーケンクロイツとどう同じなのよ!」
「その様な愚説を許してたまるか!」
「だから僕は言ってやる!ネットでもリアルでも!」
その両方でとだ、耕平は強い声で叫んだ。
「旭日旗を掲げるのは日本の権利だ!」
「当然のね!」
「ハーケンクロイツではない!」
こう叫び三人で街角やネットで旭日旗を掲げその反対運動に反対していた。その我が子を見てだった。
稲穂はどうかという顔になってだ、夫に尋ねた。
「どう思うの?」
「いいんじゃないか?」
「周平の返事はあっさりとしたものだった。
「別に」
「何か変に熱いけれど」
「だって何で旭日旗に反対するんだ?」
周平はそこが理解不能だった。
「そもそも」
「そう言われると」
「あれはハーケンクロイツと関係ないだろ」
「その前
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