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永遠の謎
326部分:第二十一話 これが恐れその十六
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第二十一話 これが恐れその十六

「ワーグナーのその舞台にです」
「ワーグナー氏のですか」
「そうです。今度遂にです」
 王はその言葉を弾ませた。まるで子供が長い間待ち望んでいた絵本を見る様にだ。そうした邪気のない声でリラに話をするのだった。
「ニュルンベルグのマイスタージンガーが上演されるでしょう」
「確かそれは」
「お話は聞いているでしょうか」
「少しは」
 リラはここでは真実から話した。
「あります」
「それではです」
「それでは?」
「是非御覧になられて下さい」
 王はこうリラに話していく。
「間違いなく素晴しい舞台になりますので」
「だからこそですか」
「楽しみにしておいて下さい」
 またリラに話す王だった。
「あとはです」
「あとは?」
「もう一つ大作があります」
「大作をですか」
「はい、ニーベルングの指輪です」 
 その作品もあるとだ。王は話すのだった。
「四部の大作です。ワーグナーはそれを今創っています」
「あの作品は確か」
「確か?」
「ワーグナー氏はかなりの歳月をかけて作曲しておられますね」
「そして脚本も書いています」
「ワーグナー氏は作曲と脚本も全てされるのですね」
「彼は全てを自分で創り上げるのです」
 それがワーグナーだというのだ。だからこその完璧主義者なのだ。
 そのワーグナーについてだ。王は話していきだ。そのうえでだった。 
 ワインがなくなるとだ。王はリラに告げた。
「では、です」
「はい、それでは」
 リラはいよいよだと思った。しかしだった。
 王はだ。リラにこう話すだけであった。
「今日は楽しかったです」
「えっ!?」
「またいらして下さい」
 何でもないといった調子でだ。王はリラに言うだけだった。
「送る者を用意しますので」
「左様ですか」
「はい、それではです」
 こうしてだ。リラを帰してだ。王はその日は一人で休むのだった。その夜のことをだ。リラと戸惑いながら周囲の者達に話すのだった。
「陛下は女性には興味がありません」
「噂通りですか」
「そうした方なのですね」
「まるで私を彫刻の様に見てです」
 そしてそのうえでだというのだ。
「ワーグナー氏のお話をされただけです」
「ワーグナー氏のですか」
「陛下が愛されているその音楽を」
「それだけだったのですか」
「はい、それだけでした」
 まさにだ。それだけだというのだ。
「全く以てです。何とでもない様にです」
「フラウに対してもですか」
「ではあの方はやはりですか」
「女性には興味がない」
「それも全くですか」
「そうとしか思えません」
 リラは話した。
「あの方はまた特別な方です」
「しかしそれではです」
「ゾフィー様はどうなる
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