第6章:束の間の期間
第179話「後処理の合間に」
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。
優輝は女性の体に影響されている状態でも、普段の状態を演じていたため、今回もそうしていたのではないのかと司は考えたのだ。
「それなら誤魔化せたのも納得だけど……優輝ってそんな演技派だったんだね」
「ま、まぁね……。優輝君、声真似も得意だし……」
「あれか……」
性転換していたのを誤魔化していた事は言えないため、司は少し動揺する。
幸い、誤魔化す際に言った事が帝にも思い当たる事だったため、若干どもってしまった事で変に疑われる事はなかった。
「うー……じゃあ、どうすればいいんだろ……」
「確かにな……。単純な方法で戻せる訳がねぇし……」
打つ手がないのかと、アリシアと帝は唸る。
その様子を見て、司も考え込むが……。
「……いつも通りで、いいんじゃないかな?」
ふと、思いついたその考えを、口に出す。
「えっ……?でも、それじゃあ何も変わらないんじゃ……?」
「ううん。“いつも通り”だからこそ、いいんだよ。多分、躍起になって変に行動しても、それこそ無意味だと思うから」
変に行動しても、気を使われていると思われるだけ。
その事もあって、“普段通り”にしようと司は提案する。
「……信じよう?優輝君を」
「……そうね。私も、優輝さんを信じるわ」
奏も司に便乗するように言う。
二人とも、思考には表れていなかったものの、何か行動をすることで、“行動をしなければ変化が見られない程、優輝の心に自分が深く刻まれていない”と言った事実に直面したくないという想いがあった。
だが、同時にそれ以上に優輝の事を信じて、この提案をしたのだ。
「っ………」
「………」
「……えっと、変な事言ったかな?私……」
その二人に、アリシアとユーノは息を呑んで言葉を詰まらせる。
「いや……なんというか……」
「本当、優輝の事を信頼しているなって……」
好いているからこその信頼。
それを見て、二人はなんとも言えない気分になっていたのだ。
「ふえっ……?」
「っ――――」
そんな二人の言葉に、司と奏は顔を赤くする。
まさか、このタイミングでそんな言葉が投げかけられるとは思わなかったからだ。
「ななな、何を言ってるのかな!?私はただ優輝君を……」
「助けたくて“敢えて”な方法を選んだんだよね?いやぁ、よっぽど優輝を信頼してわかっていなきゃその発想はなかなか出ないよ」
「いや……うん、何というか、ごちそうさまでした」
慌てる司に対し、アリシアがからかい、帝が目を逸らしながらそんな事を言う。
ちなみに、リインは一部始終をずっと見ているが、なんて声を掛ければいいかわからずにオロオロしていた。
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