第6章:束の間の期間
第179話「後処理の合間に」
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影響を受ける。……魅了の事もあって、奏ちゃんはそれを恐れているの。……出来れば、言及しないでほしいかな」
「あ………ご、ごめんね、奏……」
「……構わないわ……いつかは向き合わないといけないから」
“やってしまった”と思うアリシアに、気にしないように言う奏。
いつまでも恐れてばかりではいられないと、奏は何とか落ち着いた。
「……話を戻すよ。優輝君は今感情を失ってる。それがどんな影響を及ぼすのかは分からないけど、少なくとも今までとは態度が変わると思っていいよ」
「あいつが感情を失う……なんつーか、何でも合理的に考えそうだな。今までのお人よしな部分がなくなってそうだ」
「……帝に同感だね。嫌な予感しかしないよ」
「あはは……言っておいてなんだけど、私も同感……」
いつでも最善の結果を掴もうとしていた優輝。
そこから“感情”の要素を抜いた場合を想像して、全員がその結論に至る。
「合理的……つまり、それって……」
「感情が介入する余地がない。……だから、とことん冷酷になるよ」
「本当にそうなるかはわからない。でも、優輝みたいに上手く物事をこなすような人物から“感情”の要素を抜いたらそうなるかもね」
アリシアの言葉に司が続け、ユーノが補足する。
合理的……つまり、一度敵と認識すれば、容赦なく効率的に殲滅する。
今まで手心があった部分がなくなってしまうという事になる。
「……そういう優輝君は、見たくないな……」
「同感よ……」
「私も同感。……と言うか、そんな優輝が想像出来ないよー」
司、奏、アリシアがユーノの言葉を聞いてそうぼやいた。
三人とも優輝には世話になっているため、そんな優輝を想像したくなかったのだ。
「……でも、失った感情なんて、どうすれば……」
「昨日一度集まった時は、あまり気にならなかったけど……」
「……そういえば、まるで感情があるみたいだったような……」
昨日の優輝を思い出し、アリシアと司は唸る。
「それなら、もしかすると……」
「感情が戻ってるんじゃねぇのか……?」
当時の様子をあまり見ていない奏達は、その言葉で希望を持つが……。
「……ううん。それはないと思う。その時もどこか無機質な感じだったから……。奏ちゃんも今朝会った時に感じてたでしょ?」
「……そう、だったわね……」
声も表情も平坦でありながら、どこか儚かった今朝の優輝。
それを奏も思い出し、感情が戻ったという希望は泡沫と消える。
「……多分、優輝君は感情があった頃を“演じて”るんだと思う」
「感情があった頃を模倣して、感情があるように見せてるってこと?」
ユーノの確認に司は頷く
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