暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第18話 壊せない今
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「でしょー。シーズンにこだわっちゃダメなのよ。美味しい料理は、シーズン問わず食べられるものなんだから」

 その時には食べ終わって椅子にもたれかかる男性陣と、2人に対して力説するセレシア、そしてその光景に微笑むフローラという構図が出来上がっていた。それはとても平和で、この光景に至る原因を忘れてしまいそうになるほどだ。

「あ、食後の紅茶どうする? 今ならハーブティー作れるよ」

「僕はアイスでお願いするよ」

「私もお願い」

「ならあたしもー」

「りょーかい。少し時間もらうよ」

 それぞれから注文を承ったエースはキッチンに向かうと、全員の分が必要ということでいつもより少し多めの量のハーブを貯蓄してある場所から取り出した。その後のティーカップなど必要なものをせかせかと準備する様は、とても手際よく見える。

「フォンバレンくんの紅茶、とっても美味しいんだよ」

「へー意外」

 ハーブを蒸らしている最中のダイニングからは、女性陣のこんなやりとりも聞こえてくる。蒸らして始めてから7分ほど経つと、エースはそれをティーカップ1つ1つに丁寧に注ぎ分ける。最後に自身の氷魔法で一気に冷やせば、アイスハーブティーの完成である。

「便利だねー、フォンバレンくんの氷魔法」

「今は程度が分かったから便利だけど、昔は間違えて凍らせたこともあったからな。結局のとこ慣れがものをいうんだよな。どの魔法でもそうだけど」

 セレシアの言葉にもきっちり反応しつつ、エースはソーサーの上に置かれたティーカップを4つお盆にのせてダイニングまで運び、それぞれの前に配膳する。

「はい、どうぞ。ぬるくならないうちにな」

 そう言って、エースは自分の場所であるキッチンから遠い方のダイニング入り口側の席に戻った。

 それなりにはこだわっているハーブティーの味は、果たして向かいに座っている2人にはどうなのだろうか。

「うん、やっぱり美味しいね」

「うん、ホントに美味しい。なんか意外」

「こだわってるのにマズかったら、感性疑われるからな」

 どうやら好評だったようで、女性陣の漏らす肯定的な感想に、エースは自らもティーカップの中身を少し口にしてから答えた。

 その内容は当然だ、というようなものである。だが、常にこだわっている身としてはいつでも美味しいと言ってもらえるようにしているので、その通りになった時はやはり嬉しいのが本音だ。

「すごーく意外なこだわり。スプラヴィーンくんなら、雰囲気的に分からなくはないけど……なんで?」

「なんでって……そりゃあ、まぁ、好きだからとしか言いようがないな」

「へー……そうなんだ」

 若干途中が省かれたセレシアの疑問にエースが返したのは、表面上では適
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