324部分:第二十一話 これが恐れその十四
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第二十一話 これが恐れその十四
「彼女もまた女優でしたが」
「いえ、それは」
「何と申しましょうか」
「彼女については」
その彼女の名前が出るとだ。周りの者達はだ。
「何といいましょうか」
「流石にちょっと」
「わかっています」
すぐに言葉を返す王だった。
「彼女とその方は違いますね
「はい、違います」
「それは全くです」
周りはだ。彼女とローラ=モンテスは違うということを強調した。ローラ=モンテスのその名前はだ。バイエルンでは口に出すのも憚れるのだ。
それを述べて保証してからだ。彼等はまた王に話す。
「ですから特に意識されずにです」
「御会いされてはどうでしょうか」
「その方と」
「そうですね」
王は何でもないといった感じで彼等に答えた。
「それでは今度」
「はい、それでは手配をしておきます」
「こちらで」
「そうさせてもらいます」
「そうしてもらえますね」
王も彼女と会うことに乗り気な様に見えた。その話が流れ出てだ。
話を聞いた者達はだ。こんなことを話すのだった。
「陛下があの女優と御会いされるのか」
「女性に興味を持たれるようになったのか」
「そのこと自体はいいことだが」
「だが。彼女は」
そのだ。リラ=ブリョンスキーのことが話されるのだった。
「あまりいい噂がないからな」
「身持ちはよくないらしいな」
「女優の中にはそうした者もいるが」
「ローラ=モンテスの様に」
口に出すのも憚れるがだ。どうしても話に出るのだった。
「あの女優と同じく」
「似てはいないですが身持ちがよくないのは同じ」
「困るな、これは」
「全くだな」
こうした話も出ていた。しかしだった。
その中でだ。彼等は今度はこんなことを話した。
「そもそもあの陛下が女性に興味を持たれる」
「確かにそれは人として普通だが」
「婚約されたことが影響しているにしても」
「しかし。それでもな」
「急だ。にわかには信じられない」
王のそうしたことがだ。とてもだというのだ。
「女優と会われるなぞ今までなかったこと」
「それが急になられるのだからな」
「一体何が起こるのか」
「それが問題だ」
「厄介なことだ」
こう話してだった。彼等はだ。
王と女優が会うことについて不自然な、現実であるが現実とは思えないことに考えを巡らせる。しかし会うことはもう決まったのだった。
それでだ。王はだ。二人きりでだ。その女優リラ=ブリョンスキーと会うことになったのだった。
艶やかな、そして妖しい化粧と服で飾りだ。見るからに色気を漂わせた女が来た。その彼女が王の前に来て一礼してから話してきた。
「はじめまして、陛下」
「貴女がですね」
「はい、リラ=ブリョンスキーといいます
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