第一部
幕間の物語
流星と黒猫
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「……何でもない!それより、どうやってアヤトが元の世界に戻るかだけど────────」
アキトは涙を拭うと、いくつか案を出してくれた。
一つは転移門周辺を調べること。突然76層に来てしまったのだ。ならその原因は転移門にあるのではないかというものだ。
二つ目はもういっそのこと街全体を調べてみるというもの。手間がかかるが転移門よりかは手掛かりが出てくる可能性が高めだ。
三つ目は圏外に出て探してみる事だ。
とりあえず一つずつ進めていこうと思う。
「転移門の近くに行ってみよう。何かあるかも知れないからね」
「了解」
そう言って俺達は転移門の前まで移動する。転移門は何処も大した変化はなく、青い光を放ちながら浮いている。
俺はもう一度転移門の前で他の層に行こうとしてみるが、やはり76層より下に行けない。
「……ダメだな。やっぱり何もできない」
「ごめん。こっちも何も無かったよ」
アキトは悔しそうに呟く。気を取り直してアークソフィア内を散策してみるが、これといって手掛かりは無かった。
「これだけ探しても何もないなんてな……」
「少しぐらい手掛かりがあっても良さそうなのにね」
「おーい!アキトー!」
突然アキトの名前が呼ばれ、俺達はその声のした方を見てみる。
「あ、クライン」
「って、アキトが二人!?……じゃねぇな」
「彼はクライン。ギルド《風林火山》のリーダーだよ」
「お、おお……よろしく」
「おう!よろしくな!で、お前さんは何て言うんだ?」
「ああ悪い。俺はアヤト。ソロだ」
何とも複雑な気持ちになる。クラインとは第1層の、しかもリリース初日からの仲だっただけにやりづらい。
クラインはニシシと笑いながら右手を差し出してくる。握手だな。
俺はクラインの握手に応える。そういえば最初会った時もこうやって握手したっけ。俺は唇を噛む。
(何とかして早く帰らないとな……)
俺は決意を新たにクラインの手を離す。
「それにしてもお前さん達、何だか似てるよな」
「似てる?」
「おう!何つーか、雰囲気ってヤツだよ!顔立ちもだし、背丈も同じぐらいだろ?ぱっと見ではアキトが二人居ると思ったぜ!」
そうか?俺とアキトかぁ……。アキトはどちらかと言えばキリトに似てるような気がするな。
アキトと直接会った時に俺が思った事はキリトの様な少年。顔も声も違うし、当然武器も違う筈なのに、纏う雰囲気がキリトにそっくりだ。
そう思っているうちに、アキトは今の俺の状況をクラインに説明する。するとクラインも仲間を呼んで俺の元の世界線に戻る手掛かりを一緒に探してくれるそうだ。
流石クライン。義理人情に厚い男だ。元の世界線は仲間だが、ここでの俺は見ず知らずの他人なのに「必ず見つけ出してやるからな!」っ
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