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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
73話:奇跡
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は透過装置を使うもの』という先入観から、隕石群だと誤認されたのだ。何とか隣のエルゴン星系の防衛部隊と合流し、300万人の避難民を受け入れる余地のあるジャムシード星系に向かった。ジャムシード星系で避難民と別れ、報告の為にハイネセンへ戻った私は、『エルファシルの奇跡』の英雄として道化役をする日々に放り込まれることになる。そんな日々が数日経ったころ、帝国軍の公式発表がフェザーンからもたらされ、右派と左派が白熱した議論をすることになる爆弾が投下される事になる。つけたままにしていたニュースチャンネルがその話題を始めたようだ。

「では次のニュースです。先日リリースされた帝国軍の公式発表に対して、サンフォード最高評議会議長が声明を出しました。議長声明によると、同盟政府はエルファシルの市民の安全を軽視した事は無く、今回の一件は予測不可能な事態が重なってしまった結果とのことです。エルファシルの避難民に対しては戦災復興支援法が適用される模様です。早速、今日のゲストに見解を伺いましょう。まずは右派からウインザー代議員、お願いします」

「私は今回の戦災復興支援法の適用には反対しておりました。エルファシルのインフラが壊滅的な打撃を受けたとはいえ、同盟市民は犠牲を払いながらこの戦争を戦って参りました。とはいえ戦況は劣勢です。今は一隻でも多くの戦闘艦を宇宙艦隊に用意するときです。戦争に負けるような事があれば、同盟市民全員が農奴にされかねません。この予算があれば、一個艦隊相当の戦力を用意できたはずです。復興は市民の努力によって成し遂げられるべきだったと思いますわ」

「ウインザー議員、ありがとうございます。では左派からレベロ議員、お願いします」

「戦力化を進める予算が不足していることは、私も重々承知している。ただ、人間は霞を食べて生きられるものではない。ヤン少佐の鬼謀で軍は市民の命を守ることは出来たが、生活を守ることは出来なかった。そういう意味では、今回の戦災復興支援法の適用は妥当だと考えている。多数派が少数派を切り捨てるような事はあってはならない。政府も全面的にサポートするので、エルファシルの避難民の皆さまは一刻も早く復興を成し遂げて頂きたい」

「レベロ議員、ありがとうございました。ではここで、議論のきっかけとなった帝国軍の公式発表を確認したいと思います。こちらをご覧ください」

ここで画面が切り替わり、42歳には見えない若々しさと、繰り返し鍛錬することで得られる均整の取れた体格をした人物が登場した。これは帝国国内向けのモノだから帝国語が使われているが、フェザーン経由で同盟に流すことを想定していたのだろう。同盟語の字幕がついている。

「帝国の臣民諸君、兵士諸君、普段はあまり表には出ないが、私はザイトリッツ・フォン・リューデリッツだ。今回、最前線でエル
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