第五章
第55話 勇気
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に、だ。
この神、以前に「別に地下都市二万人大虐殺でも全然かまわないよ? むしろそうしたら?」というようなことを、サラッと言っていたような気がするのだが。
心境の変化でもあったのだろうか。
……。
……あ。
「あー、もしかして。俺を励まそうと?」
「……わたしは現在のお前の管理者だ」
イエスかノーかという答えではなかったが、そう言う神の表情は、たまに町長が見せていたそれと、少し似ているような気がした。
そのまま視線を下に滑らせていく。
神の足元にいるジメイと視線が合う。彼は一つうなずくような仕草を見せた。
周りを見ると、クロもいつの間にかベッドの横まで来ていた。
四人と一匹に見られている。
それぞれの顔をあらためて見ると、心配をしてくれていることがよくわかった。
もしかしたら。
さっきのエイミーやカナ、将軍二人の妙なテンションも、俺を心配して慰めてくれていたのかもしれない。
――俺は周りに気を遣わせすぎか。
さっさと頭を切り替えて、少なくとも顔には出ないようにしなければならないな。
そう思った。
交渉は失敗に終わったが、対地下都市の作戦はまだ続く。
味方と敵、双方に一人の死者も出さないことは、すでに難しくなっている。
タケルとの約束も、どこまで果たせるかは不透明な状況だ。
だが、一人でも死者を減らすためにできること。
考えればまだあるかもしれない。
息を大きく吐いて、視線を一周させる。
「……なんだかスッキリしました。ありがとうございます」
「それはよかった。お前が何か考えついたのであれば、わたしもそれを援助しよう。期待するがよい」
「リク、お前が暗いと余が困るからな。頑張ってくれ」
「オレも困るよ。エイミーたちやタケルさんだって困ると思うよ」
自分は周りの人たちに恵まれている。
その気遣いに応えるためにも、もうひと頑張りしなければ。
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