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緑の楽園
第五章
第55話 勇気
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 しっかりとディスられたので、反撃はした。
 もちろん、俺も自分に能力があるとは思っていないし、この神も悪気があって言っているわけでもないというのはわかるので、別にかまわないわけだが。

 国王のほうは、少し表情が翳った。

「そうか、無理か……。しかし会談も自爆事件で流れてしまった。この時代における存在意義を失ってしまったとリクが勘違いし、今すぐこの時代から消えてしまうのではないかと余は不安なのだ」

 ――なるほど。
 いきなり変なことを言い出したのは、そういうことだったのだ。理由がわかった。

「それは心配無用だ。リクをこの時代から消滅させるのは、わたしの作業になる。今のところ、地下都市に籠もる組織が無力化するまで、その作業をおこなうことはないだろう」

 「消滅」という表現に少しドキリとした。
 その言い方はやめましょうよ、と心の中で突っ込む。
 まるで、消えてなくなるみたいな表現に感じてしまう。

 そんな俺の心中をよそに、神は「それに」と続ける。

「まだリク自身に、考えることもやることもあるだろうからな」
「え? そうなんですか?」

 意外な振られ方をしたので、その本人である俺が聞き返してしまった。

「そうではないのか?」
「ん? どういうことですか?」

 もう一度聞き返した。
 神は俺には直接答えず、先に国王のほうに問いかけた。

「国王よ。地下都市を攻め始めるまで、あとどれくらいの猶予がある?」
「……詳しくは打ち合わせで詰めるが、ここは数日以内に立つことになるだろう。そこから地下都市までまた一週間近く行軍することになると思う」

 その答えに神は、彼にしては大きめにうなずいた。
 そして今度は俺のほうを向く。

「リクよ、それだけ時間があるのであれば、その間で考えるがいい」
「考えるって……?」
「そのとおりの意味だ」
「?」

「自爆事件で今まで準備してきたことが無駄になろうが、今回の作戦がここで終わるわけではない。
 わたしとの約束については、このまま進めばどのみち達成はできるだろう。もはや地下都市はその終焉を免れることはできない。あとはどう形を作るかの問題だからな。
 だが、わたしとの約束はともかくとして、お前にとってはその『どう形を作るか』が重要ではないのか? 一万五千の軍勢が地下都市を攻めるというのは、確かにもう避けられないのかもしれない。しかし、その中で、少しでもお前にとってよい終わり方ができるよう考えることはできるはずだ。物事はゼロか百かではない。気を落としている場合ではないだろう」

 思わず、神を見上げながら口が半開きになってしまった。
 違和感が半端なかった。
 言っている内容そのものではなく、その内容を神が言うこと
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