機動戦士ガンダム
2212話
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クレイドルの中でも、まだ人の住んでいない場所。
そこを、俺は走る。
とはいえ、別に生身で走っている訳ではなく、乗っているMSで走っているのだ。
そう、現在俺が乗っているのは、どうやって入手したのかは分からないが、ツィマッド社が俺にプレゼントとして渡してきたMS-08TXイフリート。
ジオニック社のグフと、ツィマッド社のドムの中間に位置するMSだ。
ヅダを超える大推力スラスターを装備した、高機動近接格闘用MS。
コンセプトとコストの問題から、あるいは政治的な事情という噂もあるが、ともあれ開発はされたものの、10機にも満たない数しか作られていないという、非常に希少な機体だ。
ピーキーな機体だけに、当然のように乗りこなせる者も少なく……その辺りも結局量産機として採用されなかった理由なのだろう。
そんな機体だったが、コンセプトが気に入った俺はこの機体について聞かされた日から数日後……クレイドルに運び込まれたイフリートを一応何の問題もないか――例えば爆弾の類が仕掛けられていないか――を確認した後で、すぐに機体を試してみる事にした。
結果として、確かに俺が乗っていたFS型のザクに比べれば操作性とかはかなり悪いが、機体の性能そのものはザクを圧倒的に凌駕しているのは間違いない。
特に大きかったのは、やはりその機動力と運動性だ。
ザクの時は操縦するのにワンテンポくらい必要だったのだが、イフリートはその辺りがそれなりに改修されている。
……もっとも、地上用なんだよな、この機体。
ルナ・ジオンも一応はハワイに領土を持っているが、当然のように本拠地は月だ。
もし戦闘をするとなれば、宇宙空間での戦闘となり、イフリートは使えないだろう。
いやまぁ、技術班辺りに頼めば改修はしてくれるだろうが……それでも、このイフリートは地上で使うことを大前提として作られた機体である以上、その能力をフルに発揮出来るのは、やはり地球……もしくはコロニーやクレイドル、月面都市といったような場所なのだ。
そうなると、このMSを有効に使うような場所はあまりない。
まさか、クレイドルに攻めてくるような相手がそうそういるとは思えないしな。
そんな風に思いつつ、イフリート専用に作られたヒートサーベルを左腰から引き抜き、振るう。
瞬時に赤く染まったヒートサーベルは、空気そのものを斬り裂くかのような一撃を放つ。
赤く染まったヒートホークと青い装甲のイフリートは、どこかコントラストが良い。
ちなみに、最初は俺のパーソナルカラーである赤……深紅に装甲を塗り替えるといった意見もあったのだが、それだと俺が乗っているとすぐに知られてしまうし……なにより、このイフリートは後で技術班に引き渡される事になっているので、素の状態のままがいいだろうと判断し、
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