第十六話 天下の大戦その十
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本陣に戻った時に顕如と会って話をした時二自身の後ろに控えていた家臣達にどうかという顔で問うた。
「どう思うか」
「顕如殿のお言葉ですな」
「門徒達に死ぬまで戦うとは言われておらぬ」
「そして闇の色の旗なぞ知らぬ」
「そのお言葉を」
「わしには嘘に思えぬ」
こう家臣達に話した。
「到底な」
「ですな、どう見ましても」
「顕如殿は嘘を言っておられませぬ」
「むしろです」
「顕如殿の方がいぶかしんでいました」
「うむ、そもそも我等と戦っておったのは灰色の者達ではなかった」
信長もこのことは観てわかっていた。
「闇の者達ばかりであった」
「雑賀衆はいましたが」
「それでもでしたな」
「我等に向かって来るのは闇の旗の者達で」
「鉄砲も多く持っていましたし」
「妙な者達でした」
「あの者達は本願寺ではないのか」
どうもと言うのだった。
「それでは」
「その様ですな」
「どうにも」
「本願寺ではない」
「では一体」
「わからぬ、しかし本願寺でないなら」
それならともだ、信長は話した。
「何者じゃ。それが気になるわ」
「数も多かったですが」
このことを言ったのは柴田だった。
「あの闇の旗の者達は」
「何十万とおったな」
「はい、それこそ」
「そこまでの数の者達が出て来た」
「それも急に」
「これもないことじゃ」
「本願寺ならと思っていましたが」
柴田も妙だと思いつつもそうとしか考えられないと思ってこう考えていたのだ。
「ですが」
「どうもそうでないなら」
「一体何者なのじゃ」
「わかりませんな」
「全くじゃ、しかしな」
「それでもですな」
「暫しあの者達のことは置いておいてな」
そしてというのだ。
「本願寺も降した」
「ならば」
「次はいよいよじゃ」
「毛利家ですな」
「あの家との戦に入る、領地の中は治まった」
都、そして本願寺を収めてというのだ。
「ならばな」
「いよいよですな」
「毛利家となるわ」
そうなるというのだ。
「遂にな、姫路城に向かうぞ」
「わかり申した」
「ではです」
「まずはあの城に入り」
「あの城を拠点として」
「それで攻めるぞ、そして今宵はな」
この夜はというと。
「本願寺を降した、ならばな」
「そのことを祝い」
「それで、ですか」
「飲め、兵達もじゃ」
彼等もというのだ。
「思う存分な」
「そうしてですな」
「そのうえで」
「そうじゃ、楽しむのじゃ」
戦に勝ったそれをというのだ。
「まだ戦が続くがな」
「わかり申した、では」
「都と本願寺のことを喜び」
「これよりですな」
「宴を楽しみますか」
「皆で飲め、酒はふんだんにある」
兵達のそれはというのだ。
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