第一章
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糸引き娘
八条学園高等部に通っている山北紗佳は癖のあるやや長い黒髪を後ろで束ね前は中央で分けている。薄い鳶色の目は何処か幻想的で細い眉が白く薔薇色がさした頬のある顔によく似合っている。やや細めで切れ長の目の形もよく背は一五八位で胸が目立っている、クラスでは女子のクラス委員であり実は近所に住んでいてずっと同じ学校で今は同じクラスにいる大石健児と付き合っている。このことはクラスでも学年でもよく知られていることだが。
今紗佳は二人が住んでいる西宮から離れた大阪市西成区に健児を連れてきていた。それは何故かというと。
紗佳は自分より二十センチは高く眼鏡をかけた自分の横にいる彼氏に東天下茶屋の街中を歩きつつ話していた。
「ではいいですね」
「うん、今からだね」
「大叔母さんに会ってもらいますので」
紗佳の祖父の姉達にというのだ。
「私の彼氏そしてです」
「将来のだね」
「はい、旦那様とです」
「ううん、早いんじゃないかな」
流石にとだ、健児は紗佳にどうかという顔で述べた。
「僕達確かに小学六年の頃から付き合って」
「キスもそれからもですね」
「お互いがはじめてで」
「ええ、お互いの親同士も認めてくれた」
「そうした間柄だけれどね」
「私は決めています」
真面目な顔で言う紗佳だった、シックな地味な色合いで露出も少ない服装だが胸とスタイル全体のよさが目立っている。
「もう」
「結婚することを」
「お互い大学を卒業したら」
その時はというのだ。
「健児君がと」
「僕もそれはね」
「私で、ですよね」
「決めてるけれど」
「では今からです」
休日を利用してだ、この日は二人が所属している吹奏楽部も部活は休みだ。つまり完全なフリーの状態なのだ。
「大叔母さん達にお話して」
「大叔母さん二人いるんだったね」
「ええ」
その通りだというのだ。
「お姉さんと妹さんが」
「二人共紗佳ちゃんの父方のお祖父さんのお姉さんだったね」
「そうなのです、とてもいい人達で」
それでとだ、紗佳は健児に話した。
「私は子供の頃からです」
「凄く可愛がってもらっていて」
「大事にしてもらってるんだね」
「お二人に認めてもらえば」
紗佳としてもというのだ。
「もう完全ですから」
「僕達の将来を認めてくれる」
「もう万全だから」
だからだというのだ。
「行きますの」
「そうなんだね、しかし西成に来るのは」
大阪のここにとだ、健児はどうにもという顔で述べた。
「想像もしなかったよ」
「実は実家はこちらです」
紗佳は自分の実家のことも話した。
「元々の本籍は」
「西成だったんだ」
「お父さんとお母さんが結婚して」
「西宮の社宅に入ったんだ」
「そうで
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