72話:皇女
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、暴走に拍車がかかるであろう。政府系貴族もリヒテンラーデが何とかまとめておるが、分かりやすい大功を立てている軍部と違い、良い所が無い。財務尚書のカストロプも好き勝手しておるし、当然不満がたまっておるはずじゃ。中には共謀して良からぬ勅命を出す輩もおろう。それが引き金となり、内戦と言うこともありえる」
ルードヴィヒ皇太子の話を出したとき、陛下は悲し気な表情をされた。一人目の御子が死産と言う結果になった時、至尊の座に目がくらんだブラウンシュヴァイク公爵、若しくはリッテンハイム侯爵の策謀が宮中で噂となったが、そんな事をしても皇太子がご存命である以上、意味がない。陛下は口にされぬが、そう言う事なのだろう。
2度とこのようなことが無いようにと厳しい処罰が下されたし、それが発端となって、地球教の存在も明らかになった。皇太子殿下が心労を理由に寝込むようになったのはその頃からだ。『皇太子』と言う地位が皆を黙らせているが、真犯人は誰もが知っている。
「後見人にしなくとも、あの者なら配慮はしてくれようが、隙をついて良からぬ人物が後見人にでもなれば、皇女だけに政治利用もしやすい。それなら初めから頼んでおいた方が、煩わしい事も少なかろう?」
「既にグリューネワルト伯爵夫人の弟君の後見人でもあらせられたはず。重用が過ぎると良からぬ感情を皆様がいだくのではないでしょうか?」
陛下は愛飲されている『レオ』をグラスに注ぎ、飲み干して話を続けた。
「もし、自由に任免できるなら、あの者を帝国宰相にしておるし、シュザンナを皇后にもしていた。それをせぬのは、足を引っ張るだけでなく、害そうとする輩が出てくると判断したためじゃ。地球教の事もあったゆえ、あの者の警護は万全であろう。ならば皇女の後見人にした所で、そこまで違いは無いはずじゃ。
それにな、お忍びで飲み屋街に出入りしていた頃に聞いた話じゃが、『友を持つなら、幼い我が子を託すに足る友を持てれば、それ以上に男冥利に尽きる物は無い』そうじゃ。生きたい様に生きられぬ人生じゃったが、だからこそ得られた貴重なものもある。シュザンナに異議がなければあの者に後見人を頼むこととしたい。いかがじゃ?」
リューデリッツ伯爵は、軍人としても領主としても事業家としても当代屈指の方だ。そんな方にディートリンデの後見人になってもらえるなら、確かに安心できる。皇太子になる前から陛下とは親しかったと聞いているし、信用の面でも申し分ないだろう。
「リューデリッツ伯に後見人になって頂けるなら、これ以上安心出来る事はございません。ただ、ご依頼する際は私も同席しとう存じます。皇女とはいえ我が子の事。私からもお願いしたく存じます」
「うむ。ではバラ園でのお茶の席に同席するがよい。もっともあの者は察しが良いからな。バラ園でシュザンナが同席と
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