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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第13話 報告と謎と
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この日、早く学校に来た理由はもう1つ。
それを果たすべく始業前にぽっかりと空いた時間を利用して、セレシアを除く3人が再合流した後に向かった先は校長室だった。
その目印でもある、漆塗りなのか光沢の見られる大きな両開きの扉を前にして、フローラが固唾を飲む。来慣れているエースとミストがすでに捨ててしまった緊張感を、彼女はまだ持っているようだ。
「そんなにガチガチにならなくても……って無理な話か。来慣れないもんね、ここ」
「まぁスプリンコートさん優等生だもんな。本来は全く縁のない場所ではある。最近がおかしいだけで」
「僕らもまともに過ごしてるから本来は縁のない場所のはずなんだけどね。まぁ校長のおかげで今も生きていられるわけだから、別に呼ばれるくらいじゃ何とも思わないけども」
そんなフローラを見たエースとミストが緊張の欠片もないそんなやりとりをした後に、一番前にいたエースが茶塗りの扉を押し開けた。
そこにはいつものように、茶塗りの机を挟んだ向こう側にパードレがいた。開く最中に椅子を回転させていたのが見えたことから、扉が開けられたと分かってから回転式の椅子を回した様子だ。
何もしていなかったということは、2人が報告に来るのを待っていた、ということだろう。ひとまず、この日最初の接触ということで、軽く頭を下げて挨拶をする。
『おはようございます』
「おう来たか少年少女。待ってたぞ」
いつもと変わらず校長の威厳も何もない軽い挨拶で出迎えるパードレ。エースとミストはいつも通りの様子、つまり校長と相対しているとは思えない程緩い感じでいるが、フローラだけはやや緊張気味である。他の面々との対比で余計に強く見える。
「フローラ、そんなに緊張しなくてもいいんだぞ。説教が始まるわけじゃないんだしよ」
「え、あ、はい」
「んー……なーんかまだ固いな……。まぁしょうがねぇか。ほとんどの生徒はここ来ねぇもんな。こいつらが特例なだけで」
「義理とはいえ親と顔合わせて緊張なんてしませんからね」
「全く同感です」
内容としてはパードレの言葉を肯定しているが、言い方のせいで否定的に聞こえてくる2人の言葉に、パードレは少し笑った。2人を指差しながら、1人浮いてしまっているフローラに話しかける。
「まぁ、こんな感じだフローラ。こいつらの家で過ごしたとは思うが、昨晩は大丈夫だったか?」
「は、はい。安心して過ごせました」
「こいつら、飢えた獣みたいに襲い掛かったりしてないよな?」
「はい、大丈夫です」
笑顔でそう答えるフローラ。その横では、2つ目の問いかけに少し脱力感を感じさせるエースとミスト。
「いや、義理の息子どんだけ信用してないんですか」
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